厚労省、緊急性高い12症状公表 「胸の痛み」「脈がとぶ」
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循環器内科医として言いますが、脈がとぶのは緊急性高いとは言えません。これは不整脈の中でも期外収縮というものを示唆する初見で、期外収縮は症状だけの問題だからです。なにか危ない事に繋がる事はありません。
不整脈でいえば、脈がかなり早かったり遅かったりする方が、医学的介入が必要な場合が多いです。といっても大多数が経過観察で済みます。
医者の中では、循環器疾患=怖い疾患という認識が蔓延しており、循環器疾患を過度に警戒する風潮があります。この声明にもそういう背景を感じます。循環器診療をしないとイメージつきにくいかもしれませんが、実際は命に関わるのは限られてます。この12症状は、急速に重症化する例を少しでも早期に発見しようと苦労して作成されたことを感じます。
しかしこれだけでは不十分なことが多いことも事実です。
実際にCOVID-19、コロナの肺炎の方の診療を担当すると、こちらが驚くほどに自覚症状が軽い例が多いことに気づきます。血中の酸素濃度が下がり、酸素投与治療が必要になっていても本人はそれほど苦しがっていないのです。
この状況への説明には、医学的には血中の二酸化炭素が溜まっていないからなど様々意見はあります。しかしそういう例が多いのは事実です。
そしてその状態がじわじわ続いて、さらなる急速な悪化が重なり呼吸ができなくなってしまう。その時に人工呼吸器などの適切な治療ができなければ救命は難しいです。
そのため基本的な考え方としては、一般の方が自分自身や家族の症状だけを見て重症度を判断できるのは一部の方に限られると思います。現状の日本の感染者数であれば、早期にホテルなどの宿泊施設の体制を整えてより多くの無症状、軽症者の方を収容できるようにすることが何より大切です。どれか当てはまる=すぐに緊急性がある わけではなく、
あくまで、緊急性が高い『可能性のある』症状、であることを当事者の方々によく理解して頂いて、
該当する方はバイタルチェックの頻度を増やしたりとか、
急な重症化により失われる命を少しでも減らせれば、という取り組みかと。