[モスクワ 24日 ロイター] - ロシア中央銀行は24日、政策金利<RUCBIR=ECI>を6.00%から5.50%に引き下げることを決定した。新型コロナウイルス感染拡大と原油価格の急落を受け今年は最大6%のマイナス成長に陥る恐れがあると警告。景気支援に向け一段の緩和を実施する姿勢を示した。

50ベーシスポイント(bp)の利下げはロイターが実施した調査の予想通り。今回の利下げ幅は通常の利下げ幅より大きかった。

ナビウリナ総裁は記者会見で、現在のような異例の事態に見舞われている時は、小幅な措置では十分に対応できないと指摘。「今後の決定会合でも一段の緩和余地はあるとみている」とし、政策金利は5%を下回る可能性もあると述べた。

中銀は3月の前回会合では通貨ルーブル安を反映しインフレ率が大きく上昇する可能性があるとして、政策金利の据え置きを決定。今回の会合では、経済は大幅に悪化するとの見通しを示した上で、「緩和的な金融政策に転換した」とした。

ナビウリナ総裁は、今年のロシア経済は最大6%のマイナス成長に陥る恐れがあると予想。輸出の減少が大きな圧迫要因になるとした。ただ四半期ベースでは、第2・四半期は8%のマイナス成長に陥るものの、早ければ第3・四半期にもプラス成長を回復できるとの見方を示した。

新型ウイルスの感染が拡大する前は、中銀は今年の経済成長率がプラス1.5─2.0%になるとの見通しを示していた。

中銀は今年のインフレ率は目標の4%を上回る可能性があるとしながらも、新型ウイルス感染拡大抑制に向けて実施されているロックダウン(都市封鎖)などの措置で内需が減退していることが圧迫要因になるとした。

エコノミストはナビウリナ総裁の発言について、近い将来に中銀が追加利下げに踏み切る可能性があることを明確に示していると指摘。クレディ・スイス(ロンドン)の主席エコノミスト、アレクセイ・ポゴレロフ氏は「6月の次回会合で再び50bpの利下げが決定されると予想している」と述べた。

元中銀職員でレンキャプの主席エコノミストのソフィア・ドネツ氏は、「中銀の景気見通しの下方修正幅は驚くべきものだった。このことは、今回の利下げ幅が通常より大きかったことの説明になるほか、追加利下げの可能性を示唆するものだった」とし、6月19日の次回会合で政策金利は5%に引き下げられるとの見方を示した。

このほか、シティは「年末までに政策金利は5.00─5.25%に引き下げられる公算が大きい」とした。