iPhone SE「中身だけ最新」に見るアップルの戦略とキャリアの苦悩
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この記事にはあまり分析されていませんが、Appleと他のAndroidスマホメーカーのラインナップ戦略は基本的に大きく違いました。他のAndroidスマホメーカーは、エントリー機種からフラッグシップモデルまで、1年以内に発売された最新機種ですべてカバーするのに対し、Appleは、上位機種だけを最新機種でカバーし、エントリー機種は投資回収の終わった型落ち品を回してラインナップを構築してきました。今回そのラインナップ戦略を他のスマホメーカーと同じように、安いエントリー機種を作ったと言えます。
Appleならではの戦略としては、このSE2(敢えてこう書きます)のデザインを古臭いiPhone 8と同じにしたことですね。これは、他のメーカーであれば、絶対に取らない戦略でしょう。「本当にiPhone 8に合わせることが良いのか?」という疑問はあるのですが、ここでデザインまでも古臭さがなくなってしまったら、それこそ、SE2が爆発的に売れてしまうので、それを避けようと考えたのかもしれません。デザインの使い回しは、Appleならではの常套手段といえます。
記事の中にあるキャリアの苦悩として、iPhone 8の在庫の話があります。調達が終わってから1年経つと、総務省が決めた20,000円を超えて割引できるようになるのですが、1年経たないといけないので、割引ではなく、調達価格以下までiPhone 8の価格を下げるのでしょうね。
コスパという意味では、OPPOやXiomiといった中国系メーカーのAndroidの方がよっぽど良いと思いますが、iPhoneユーザーにとっては、対象外なので、存在していないのと同じです。同様に、SE1と同じような小型端末を日本メーカーに作って欲しいという声も昨日聞かれましたが、「Androidに切り替えてまで、それを買いますか?」というとそれもしないでしょうね。
いずれにしても、このSE2は売れるでしょう。身近にも我慢していた人が何人もいましたので。最新のCPUを積んでいるのに、なぜこれだけ安くできるか?それは半導体は作れば作るほど安くなる、固定費が大きい部品だから。SE2で量を一定稼ぐことは、同じくA13を積むiPhone 11 / 11Proの経済性にもプラス。
悩ましいのは、Appleから離れられない人にとっては安いが、Androidと比較すると必ずしも安くないこと。特に画面が額縁がまだ大きく残っている。
日本だとAppleから離れられない人が自分含めて多く、でも11のような大きさ・重さ・値段は…という具合で8以下で買い換えていない人の買い替え需要は喚起できそう。
一方でグローバルではそこまで売れないのではないかと思う。初代SEも自分はデザイン含めて大好きだが、日本での需要は異常値だと思っている。手の大きさも小さめ、何より英文字入力は片手ではできないからデフォルトが両手持ちだから大きくなることの利便性が高い一方で、日本語はフリック含めて片手入力ができるから小さいことの別のメリットが言語性ゆえに訴求できる。Omdiaが発表した、2019年の機種別出荷台数(単位 100万台)
iPhone 11 : 37.3
iPhone 11 Pro : 11.5
iPhone 11 Pro Max 17.6
iPhone XR : 46.3
iPhone 8 : 17.4
Apple 2019年 出荷台数 : 191
新機種 : 70.4
旧機種 : 120.6
記事では、
“アップルが販売するiPhoneの大半は高性能なチップセットを搭載した最新モデルだ”
と書かれている。Omdiaのデータで見れば「最新モデル」の比率は約37%。1番売れたモデルはiPhone XR。他社に比べれば圧倒的に高い「最新モデル」の比率とはいえ、大半が「最新モデル」とするのは正しくないと思います。
『Apple’s iPhone XR dominates smartphone model shipment ranking in 2019 - Omdia -』
https://technology.informa.com/621286/apples-iphone-xr-dominates-smartphone-model-shipment-ranking-in-2019