[ローマ 16日 ロイター] - イタリアの今年の財政赤字は、対国内総生産(GDP)比で10%に迫る見通しだ。政府高官の1人がロイターに明らかにした。

新型コロナウイルス感染拡大による深刻な景気後退の影響を和らげるため、政府が借り入れを増やしていることが背景にある。対GDP比が2桁まで上昇すれば、1990年代初め以来となる。

イタリアの財政赤字の対GDP比は昨年1.6%と、12年ぶりの低水準を記録。今年は当初2.2%を目標としていたが、新型コロナで事態が一変した。2月21日に国内初の感染者が確認された後、感染が急速に広がったため、政府は全土封鎖を迫られ、経済活動は瀕死の状態に陥った。

こうした中で3月には医療態勢拡充や、個人事業主およびレイオフされた労働者への助成金支給などで250億ユーロの対策を打ち出し、それ以降も企業への流動性供給などを目的とした予算措置を次々に講じている。

さらに政府は今月中に、封鎖で売上高が打撃を受けた零細企業への補償などの追加支出を実施する方針だ。

先の高官は「財政赤字の対GDP比は既に8%近くに達しつつあり、新たな対策は少なくともあと2%ポイント押し上げるだろう」と述べた。