[東京 3日 ロイター] - NTTデータ<9613.T>の園田勝一執行役員は3日、衛星画像をもとにAI(人工知能)を使って道路情報をデータ化する技術を活用し、自動運転向け3D(3次元)地図のデファクトスタンダード(事実上の標準)を目指す考えを示した。ロイターの取材で述べた。

NTTデータは、高精細な衛星データを画像処理した上でAIを用いて交差点や白線などの情報を最高30センチメートル解像度で抽出する技術を持つ。自動運転で必須となる3D地図ビジネスには、既存の地図会社やベンチャーなどが参入し競争しているが、衛星画像の解析から必要な道路データの抽出まで一貫して手掛けるのは同社以外、世界でも例がないという。

園田氏は、国内の道路の3Dデータ化は前年度に完了し、欧米でも始めていると説明し、「ベース地図のデファクトスタンダードを目指したい」と語った。持株会社のNTT<9432.T>がトヨタ自動車<7203.T>とスマートシティー構想の推進で提携しており、NTTデータの技術の活用も見込まれる。

同社の3D地図データでは、ビルや樹木の高さなども把握でき、移動通信の基地局からの電波の届き方などをシミュレーションするためにも使われる。とりわけ、次世代通信網「5G」では高い木やビルなどで電波がさえぎられやすいため、この技術の需要は高く、世界の大手通信会社にもデータ提供を始めている。

同社は3D技術で、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の歴史的文化遺産を高精細な3Dデータとして保存するプロジェクトも社会貢献の一環として進めている。園田氏は、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)につながる技術だとし、将来的なビジネス展開も視野に入れていると述べた。

同社は22年度に地図データの売上高50億円を目指すとしている。防災、建設、安全保障などでの利用実績があるほか、ドローン市場が拡大すれば物流面での利用も見込まれ、園田氏は「(さらに)上振れさせたい」としている。

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(平田紀之、山崎牧子 編集:田中志保)