【核心】原油相場は今、歴史的な「転換点」を迎えている

2020/4/3
もしかすると今、世界では「2つ」の歴史転換が起きているのかもしれない。1つは、新型コロナウイルスによる感染症の歴史だ。
ところが、新型コロナの陰に隠れてもう1つについては、あまり注目を浴びていない。原油相場だ。足元で原油価格は、歴史的な安値水準にある。
代表的な指標である米WTI原油先物は、2020年初の1バレル=61.2ドルから、3月18日には同20.4ドルまで67%下落した。3月には一時、同20ドルを割り込む場面もあり、10ドル台に突入した。
これまでは原油価格が下落すると、産油国が足並みを揃え、価格の上昇に努めてきた。ところが今回は、下落に歯止めがかからない。
原油安は、エネルギー資源を輸入に頼る日本にとってはポジティブな一方、世界経済全体で見れば、景気悪化の火種になりかねない。回り回って、日本経済にマイナスの影響を与える可能性も十分にある。
前編では、原油安が世界経済、日本経済に与える影響について解説した。本日の後編では、原油価格の下落に至った背景を紹介する。
OPECプラスでの交渉が決裂したサウジアラビアとロシアの対立を中心に、ポイントを学んでいこう。
【ポイント解説】原油暴落が「直撃」する債券、通貨、株式
今回の原油安の理由は、大きく2つ。