【緊急検証】落合陽一「東京封鎖“ロックダウン“は起こるか?」

2020/4/1
連日様々なメディアで報じられる首都封鎖”ロックダウン”。WEEKLY OCHIAIでは「落合陽一が今知りたいコロナショック への疑問」を切り口に、毎週、専門家たちとの深い視点からの考察をお届けします。

今夜22時配信のライブ配信を前に、前回(3月25日)の内容をダイジェスト記事で振り返ります。
3月25日の番組全編の視聴はこちらから(全編視聴には有料会員登録が必要です)

感染爆発はいつ起きてもおかしくない

「日本では、この前の3連休に登校の制限が解除された事で、一瞬、戦勝ムードが漂ったがそれはまったくの間違い。」
データサイエンスのスペシャリスト・慶應大学医学部教授の宮田裕章氏は、新型コロナウイルスに関する日本のデータ収集の現状に警鐘を鳴らす。
宮田 状況は依然、薄氷の上を綱渡りしており、オーバーシュート(感染爆発)にいつ至ってもおかしくない。
宮田 もし、何も対策を打たなければどこかでピークを迎えることになるが、その前に医療キャパシティの限界値を迎えてしまう。
そうなると重症患者に必要な手当てが施せなくなり、死亡数が急上昇する可能性がある。各国はそうした状況を避けるべくピークを遅らせて山を低くするための策を講じている。
宮田 打った対策の効果が時差で出てくるため、それが効果的だったのか否かを見極めた対処が非常に難しい。一瞬でも後手に回った瞬間に制御不能になる。
宮田氏は、感染から発症までに2週間前後のタイムラグが生じることによる難しさを強調した。

強制性を持たない曖昧なロックダウン?

日本におけるロックダウンが仮に施行されたとしても、中国や欧米のような市民への強制力を持った制限をかけることはできないのではないか?
こう指摘するのは、社会学者の西田亮介氏だ。
西田 現在『改正インフルエンザ特措法』に基づいた措置が検討されているが、仮に「緊急事態宣言」が出されたとしても強い要請にとどまる違反者の罰金や拘束などの強制措置を取ることができない。
日本では渋谷のハロウィンで見られる『DJポリス』のような措置が現実的ではないか。
都市封鎖には過去事例というものがない。実施の決め方だけでなく、終わらせる基準ついても同時に考える必要性についても議論された。

事態収束に『データ解析』でアプローチ

現在、多くの国や都市で外出禁止など市民の行動を制限する動きが進んでいるが、最初の感染者が出たとされる中国ではロックダウンをかけながらテクノロジーを使って感染拡大を収束させつつある。
宮田 中国内で感染者が出た場合、当人のスマートフォンから取得したライフログを辿り、2次感染の疑いがある人を先回りで抑えるなど封鎖とは別の形での封じ込めを図っている。この動きはフランスなどでも起こり始めている。
個人データを詳細にとることで実現するというプライバシーとトレードオフであるこの策は、民主主義国家でどこまでできるのか、人権保護との線引きが難しい。

LINE×地方自治体のパーソナルサポート

宮田 日本で現在保有しているデータは陽性となった患者のものだけ。しかも、その内訳は重症化し入院を要する人が中心である。陽性患者の裏に感染の疑いがある症状を持つ人がどれほどいるのか?といったはデータはほとんど収集できていない。
そんな中、月間8300万人のアクティブユーザーを抱えるLINEが地方自治体との提携を通じて感染対策を行うことが発表された。(3月31日より全国での調査が開始)
画像タップでアンケート調査の詳細ページに遷移します。
公式アカウントを通じて体調の申請や状況に応じた情報提供のサポートなどが受けられるというもので、感染者の発生区域などのこれまで以上に細かな把握ができる。
宮田 データが集まっていけば感染源となるクラスターを早期発見し、ピンポイントで抑えることも可能となるため、大規模な都市封鎖に依らない感染拡大の抑制効果が期待される。

ワクチン開発には少なくとも1年半

佐藤 集団免疫は基本的にワクチンで作るもの、多くが罹患することでそれを得ようとするのは暴論である。
感染症専門医の佐藤昭裕氏によると、現在いくつかのワクチン開発が進んでいるという。
しかし、投与した人への効果検証や副作用などのデータ収集・観察を経る必要があるため、臨床に出回るのは1年半〜2年の期間がかかると見立てられていると指摘。
人工呼吸器やCTを増やすなどと言った医療体制の整備も求められるが、現実的には医療の限界を超えさせないための診察における基準や仕組み作りが必要だと強調した。

アフターコロナではなくウィズコロナ

落合 アフターコロナじゃなくてウィズコロナでい生きていかなきゃいけない。
通常のコロナウイルスの抗体は2〜3年ほどしか持たない。新型も不明な点も多いものの、再発は十分にありうる。
また、オーストラリアやインドといった温暖な地域での感染も広がっており、気温・湿度が上がれば収束するという見込みを持つのは早計だ。今回のウイルスとは長い付き合いになるかもしれない。
落合 イベントとかの再開判断ってあと2年この調子だったら全然できないじゃないですか。今、気になっているのはどこに気をつければ経済活動を再開しながらGDPを落とさずに済むかなんですよ。
この日の番組後半では、新型コロナウイルスとの長期戦を見越した上での経済活動のあり方について議論した。続きは番組本編をご覧ください。
3月25日の番組全編の視聴はこちらから(全編視聴には有料会員登録が必要です)

今夜22時も「ロックダウン」を考える

4月1日(水)22時からの「WEEKLY OCHIAI」でもコロナ特集をお送りします。
1人でも多くの方にご覧いただきたいので、ライブ配信は無料で公開します。
前回のゲストに加えて、ゴールドマンサックス証券エコノミストの経歴を持つマザーハウス副社長の山崎大祐氏をゲストに迎え、さらに現実味を増す「ロックダウン」について、データサイエンス、経済、政治など様々なアプローチで考えます。
画像タップで、今夜22時からの動画ルームに遷移します。(ライブ配信は無料)
<執筆:具嶋友紀、編集:安岡大輔>