コロナ危機の深刻な課題を見通した、カミュ『ペスト』の凄み
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アルベールカミュは好きで学生のころ全ての著作を読み漁った。カミュの数ある著作のなかで最も一般大衆に売れたのがこのペストだが、戦後直後だった時代背景も理由の一つだろうし、カミュには珍しく分かりやすいストーリーかつハッピーエンド故だろうと思う。
その数年後にノーベル文学賞を取り、更に数年後に交通事故(自殺説もある)で46歳で早世する。
不条理、これがカミュが全作品、全人生を通じて取り組んだテーマ。いま我々はコロナ禍という不条理に対峙している意味において、野口先生が言われる通り非常に示唆深い一作ではあるが、なかなかに陰鬱な作品でもあるので、今読むべきかどうかは判断が分かれると思う。個人としては、疾病の予防と健康の増進に努めるに尽きる。これを意識的に獲得できるか否かは大きなポイントであり、分かれ目だと思う。オリンピックにもつながる、ということなのだろう。
メモ:
「感染の可能性がスマートフォンでわかるアプリだ。これは「密接接触者測量儀」と呼ばれ、中国国家衛生健康委員会が2月10日に発表したものだ。
アリペイかWeChat(微信)、あるいはテンセントQQを用いて、QRコードを読み取る。すると、政府のサーバーに接続されるので、電話番号、氏名、身分証明書番号を打ち込む。
ユーザーが、コロナウイルス感染患者と接触した可能性があると、警告文が表示される。知人など2名までを調べることもできる。」グランだったか、ペストが連れ去ろうとしない、ある種の人物に言及する一節があって、ペストを不条理の象徴とするならば、不条理の中にも条理があるのではと考え込んでしまう。
すでに意味のない人生を過ごす者にとって、不条理は何か意味を与えてくれる存在かもしれない。そんな彼らにとっては、唐突にペストが終息してしまうことこそ不条理に思えるはず。
世界は不条理なものであって、ペストやコロナはそれを一部の人間に直視させる拡大鏡でしかない。意味のない人生を、しかし精一杯に生きる人々の姿は、カミュによる回答の一つと受け取ってよいのか。
わからないので今日はもう寝よう