(ブルームバーグ): ソフトバンクグループは23日、自己株式取得と負債削減のため最大4兆5000億円の資産売却や資金化を行うと発表した。最大2兆円の自己株式取得に加え、負債償還や社債買い入れに充てる。

自己株取得は13日発表のものと合わせ計2兆5000億円となり、発行済株式総数の45%の株式を取得し、消却する。取引は今後、4四半期にわたり実施する。

広報担当の小寺裕恵氏は具体的な売却資産や資金化の方法について「これから検討していく」と話した。

ソフトバンクG株は発表後、制限値幅いっぱいのストップ高となる前営業日比500円(19%)高の3187円まで買われた。

孫正義社長は発表で「当社史上最大の自己株式取得であり、さらに過去最大の現預金等の増加につながるもので、当社の事業に対する揺るぎない自信に基づく」と説明。「負債の削減を通じてバランスシートを強化する」と表明した。

世界同時株安による投資先企業の株価下落に加え、新規株式公開(IPO)による利益回収の先行きも不透明になり、ソフトバンクGの株価は下落していた。格付け会社のS&Pグローバル・レーティングの格付け見通し引き下げなどを受け、19日終値は1994年の上場後、最大の下落率となっていた。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、投資会社である以上、資産を相場が「安いときに買って高いところで売るのが本来の姿」と指摘。今回の措置は株価の短期的上昇という効果にとどまり、新型コロナウイルスの終息時期が「ソフトバンクの経営にとって重要」との見方を示した。

松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、市場が荒れているため、売れるものはアリババ・グループ・ホールディングなど優良資産に限られるとし、「もろ刃の剣に近い」とみている。自社株買いの期間中は株価を下支えするものの、ソフトバンクGの経営にとって「長期的には警戒感が残る」とも話した。

売却対象となるリスクが警戒され、香港市場に上場するアリババ株は一時6.8%安、国内通信子会社のソフトバンク株も5.6%安の1382円まで売り込まれた。

(市場関係者の見解や子会社株の値動きを追記します)

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