【大愚和尚】ビジネスのルーツは仏教にあり

2020/3/22
登録者数20万人のYouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」が話題の僧侶、大愚元勝氏に登場いただくロングインタビュー。
最終回は、仏教とビジネスの共通点から、大愚和尚が見通す「未来」の仏教と寺院のあり方に迫る。

「仏教離れ」の本当の問題点

──前回は、寺院運営のあり方を改革するための福厳寺の取り組みについて伺いました。そのほかに、現在の日本の仏教について、改革や変更が必要だと感じる点は何でしょうか?
大愚和尚 まず、仏教が社会とかけ離れた特殊な世界と認識され、「何をやっているのかわからない」と思われている状況を変えていきたいと考えています。
「仏教離れ」「信仰離れ」という言葉も聞きますが、そもそも本当に仏教を知ったうえで仏教から離れたという人はほぼいらっしゃらないのではないでしょうか。
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日本はもともと仏教国で、江戸幕府の頃にキリシタンの弾圧と人民統治のために檀家制度が敷かれました。以後、生まれながらに菩提寺があり、自動的にそのお寺の宗派の信徒となるような仕組みが出来上がったわけです。
そうなると、見かけ上の仏教信者の人数はいるように見えますが、自分で信心を選び取った方は非常に少ない。
慣習として「うちは昔から○○宗」というのが基本でしょうし、若い世代については、ご両親が亡くなったときに「うちって何宗だっけ? よくわからないけど、葬式はその宗派にしておこうか」という程度の認識の方が多いでしょう。
お寺についても、歴史的建造物としての知名度がなければ、関心を持たれることはありません。
京都の金閣寺さんが広く知られているのも、仏教への関心からというより、金箔を毎日張って美しい外観を保っているからではないでしょうか。歴史ある美しい宗教建築としての認知はあっても、「金閣寺での教えや、お坊さんが何をしているか」をご存じの方は少ないでしょう。
ですが、仏教の原点は、お釈迦様がみなさんに苦しみの手放し方を説いて回られたことにあります。「それを今、どこのお寺が教えているのか?」と私は疑問に思っているのです