(ブルームバーグ): 米航空機メーカーのボーイングは、自社およびサプライヤーのために少なくとも600億ドル(約6兆4400億円)の支援を米政府に求めている。新型コロナウイルス危機を乗り切るのに必要な資金の確保を急いでいる。

ボーイングの17日の発表資料によると、連邦支援は「融資保証を含む公的および民間流動性」などを網羅するものとなる見込み。事情に詳しい関係者1人によれば、提案の詳細はまだ固まっていないが、資金支援の大半はボーイングを通じて部品メーカーのネットワークに流れることになる。他の企業も融資保証を資金調達に活用できるようになる。

トランプ大統領は同日、「われわれはボーイングを守らねばならない」と記者団に語り、同社への支援を強く後押しする姿勢を示した。トランプ政権は最大1兆2000億ドル規模の景気対策を取りまとめようとしている。米旅行関連業界が打撃を受ける中で、航空会社やホテルも政府に金融支援を求めている。

つい最近まで豊富な手元資金を抱えていたボーイングが支援要請に追い込まれたことは、航空機業界の状況の厳しさを物語っている。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)がいつまで続くか見通しが立たない中で、ボーイングが「トゥー・ビッグ・トゥー・フェイル(大きすぎてつぶせない)」に該当するかどうかといった切迫した問題に協議はシフトしつつある。

ボーイング株は17日、4.2%安の124.14ドルで終了。ダウ工業株30種平均の構成銘柄で値下がり率首位となった。

ICEデータ・サービシズによると、ボーイングの期間5年のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)保証料率は465ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に上昇。一時は488bpと過去最高を付けた。ブルームバーグ集計のデータに基づくと、ボーイングが向こう5年以内にデフォルト(債務不履行)に陥る確率が実質的に31%織り込まれていることを示している。

原題:Boeing Seeks $60 Billion Aerospace Bailout Amid Travel Collapse(抜粋)

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