【麻野耕司】コロナ真っ只中で起業。大荒れの海に漕ぎ出す

2020/4/12
2020年4月1日、新型コロナウイルスによるパンデミックの渦中に産声を上げたスタートアップ「People Tech Studios(ピープル・テック・スタジオ)」。

代表を務めるのは、組織人事コンサルティング事業で知られるリンクアンドモチベーションで、日本初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げ、数多くの組織に変革をもたらしてきた麻野耕司氏だ。

新卒でリンクアンドモチベーションに入社以来、約17年間にわたり同社でキャリアを築いてきた麻野氏が、なぜ、独立・起業を決意したのか。ピープル・テック・スタジオでは、どんなことに挑もうとしているのか。そのビジョンやミッションをはじめ、これまでの歩みで培ってきた組織マネジメントの哲学を、あますことなく語る。(全7回)

「ウィズコロナの世界」で舵取り

2020年4月1日、People Tech Studios(ピープル・テック・スタジオ)を創業しました。
事業ドメインとするのは「Work Experience(ワークエクスペリエンス)」で、エンタープライズソフトウエアを開発・提供していきます。
いざ、出航!となったタイミングが、奇しくも新型コロナウイルスの感染拡大の只中となり、大荒れの海に漕ぎ出すことになりました。
麻野耕司(あさの・こうじ)/People Tech Studios(ピープル・テック・スタジオ)代表、Knowledge Work(ナレッジワーク)CEO
1979年兵庫県生まれ。2003年慶應義塾大学法学部卒業後、リンクアンドモチベーション入社。2010年中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の執行役員に当時最年少で着任。気鋭のコンサルタントとして、名だたる成長企業の組織変革を手掛ける。2013年成長ベンチャー企業向け投資事業立ち上げ。全く新しい投資スタイルで複数の投資先を上場に導く。2016年国内初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」立ち上げ。国内HRTechの牽引役として注目を集める。2018年同社取締役に着任。同年ヴォーカーズ(現オープンワーク)取締役副社長を兼任。国内最大級の社員クチコミサイト「OpenWork(旧Vorkers)」を展開。2019年12月同社取締役を退任。2020年4月から現職。著書に『THE TEAM 5つの法則』」 (NewsPicks Book/幻冬舎)、『すべての組織は変えられる 好調な企業はなぜ「ヒト」に投資するのか』(PHP研究所)など。
しかし、日を追うごとに経済への影響も大きくなり、世界の様相も様変わりしていく中で、「ウィズコロナの世界」が私たちがイメージしているよりも長期間続くことも想定しなければいけないと思い始めています。
今現在もリモートワークが推奨されていますが、これまでリアルな世界で直接的に行われてきた業務上のタスクやコミュニケーションが、デジタル上ですべて行えるようにしなければいけなくなるかもしれません。
例えば営業活動においては、「顧客を訪問して商談をする」「隣の席の先輩に提案書のまとめ方を指導してもらう」「メンバーが会議室に集まってミーティングをする」といったことを、すべてデジタル上で行わなければならない可能性があります。
最悪の場合はそうしたことまで想定して、どのようなプロダクトを創り、届けていけばいいのかを、これまで以上に考えていかなければいけない。
「ウィズコロナの世界」が長期間続かなかったとしても、少なくとも「アフターコロナの世界」はそれ以前とは人の働き方は変わっているはず。