レバノンが初のデフォルトへ=政情不安、混乱に拍車も
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レバノンの通貨の米ドルに対するレートは、2019年7月初めから現在まで、ほぼ半分の価値になっています。レバノン政府が対外債務を返済するのが困難になっているのは、自国通貨のレートが急速に下がっている、というのが直接的には最大の理由といえます。
レバノンは、ほとんどの生活必需品を輸入に依存しています。産業においては、金融と観光が大きな部分を占めますが、いずれも非常な不振に陥っています。つまり、外貨収入源が細っており、外貨はどんどん流出しています。産業の低迷がレバノンの通貨を下落させ、対外債務の返還をどんどん困難にしています。
金融と観光の低迷の原因としては、最近の新型コロナウィルスよりももっと前から続いていることで、やはりシリア内戦が最大の背景といえます。また、レバノン政府の一部であるヒズブッラーは、イランの出先機関のようなものであり、米国とイランの対立が増すにつれ、レバノンの銀行なども多くが米国の制裁の対象になっています。
おそらく、対外債務が返さないといったことよりも、レバノンの抱える現在最大の問題は、多民族多宗教の国家が転覆しかねない混乱に陥りつつあるということです。デフォルトは、レバノンをそこに突き落としかねない要因の一つです。ということで、今日日本人の入国制限が決まったレバノンにいます。明日デフォルトの報道ですが、街は至って平和。ただコロナ騒ぎで飲食店は夜閑散としてます。ナイトクラブも営業制限がかかってます。アンダーグラウンドマーケットでは2倍近くのレートで取引されてる模様。今のところ物資不足には陥ってないようですが、まだまだわかりません。ちなみにカルロスゴーンはある程度のドルを国内に持っているでしょうし、富裕層コミュニティの結びつきは強固そうでしたので、豪華な生活は続くでしょうね。
そんなレバノンは、2017年までプライマリーバランス黒字だったんですけどね。
一方で、恒常的な経常赤字国でしたから、やはり財政リスクの度合いをみるには、プライマリーバランスよりも経常収支のほうが重要のようです。