[ワシントン 26日 ロイター] - 米商務省が26日に発表した1月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済)は、年率換算で前月比7.9%増の76万4000戸と、2007年7月以来、12年半ぶりの高水準を記録した。気温が平年よりも温暖だったことに加え、米連邦準備理事会(FRB)が昨年行った3回の利下げに伴う住宅金利の低下が販売を後押しした。

住宅市場が底堅いことで、新型コロナウイルスが及ぼす経済への打撃を和らげ、史上最長期間続く景気拡大を支える可能性がある。市場予想は3.5%増の71万戸だった。2019年12月の住宅販売戸数は当初発表の69万4000戸から70万8000戸へ上方改定された。

MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「新築住宅販売の増加は家電や家具といった家庭用品の消費を多少下支えすると予想される。1ー3月期は新型コロナウイルスの感染拡大が国内総生産(GDP)成長を圧迫することが確実とみられ、こうした消費の下支えは渡りに船だ」と指摘した。

新築住宅は住宅市場全体の約12.3%を占める。新築住宅販売は建設許可件数を基に算出されており、月次の数値は乱高下する傾向がある。1月の前年同月比は18.6%増だった。

地域別では中西部が前月比30.3%増加し、07年10月以来の高水準を付けた。西部は23.5%増と、06年7月以来の高水準だった。北東部は4.8%増。一方、販売の多くを占める南部は4.4%減少した。

新型ウイルスによって世界経済や米経済の成長が抑制されるとの懸念から金融市場はここ数日間、動揺している。新型ウイルスによる死亡者数は中国を中心に2000人を超えた。感染は他国にも拡大している。新型ウイルスによって製造業のサプライチェーンが混乱しているほか、旅行・観光業が打撃を受けている。

IHSマークイットが21日発表した2月の米購買担当者景気指数(PMI)は、製造業とサービス業を含む総合指数が76カ月ぶりの低水準を付けた。

住宅市場が国内総生産(GDP)に占める割合は3%程度と小さいが、経済への影響は大きい。米家計の健全性を計る指標とされるホームセンター大手ホーム・デポ<HD.N>が25日に発表した第4・四半期の売り上げと利益は市場予想を上回った。住宅市場の底堅さが要因となり、米経済成長は続く可能性がある。景気拡大は11年目に入っている。

今月発表された一戸建て住宅の住宅着工許可件数は1月に、07年6月以来の高水準を付けた。建設中の件数は07年2月以来の高水準だった。住宅市場の抑制要因となっている供給不足が幾分解消する可能性がある。

新築住宅の中間価格は前年同月比14%上昇の34万8200ドルと過去最高水準を付けた。売り上げは20万―74万9000ドルの価格帯に集中した。最も需要が高い20万ドル以下の住宅販売は全体の10%を下回った。

住宅在庫は前月比0.3%増の32万4000戸だった。販売ペースに基づく在庫の消化期間は5.1カ月。12月は5.5カ月だった。

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