【米大統領選】ブルームバーグの「カネと人脈」を徹底解剖

2020/2/25

抵抗できない「資金力」

2018年秋、「エミリーズ・リスト」はジレンマに陥っていた。
中間選挙を目前に、民主党派の女性候補を支援する政治行動委員会(PAC)であるエミリーズ・リストは、ニューヨークで大規模な資金集めの昼食会を予定していた。
招待されていた講演者の中には、同団体を長年支援し、総額600万ドル近くを寄付しているマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長の名前もある。
しかし、昼食会の数日前、ブルームバーグはニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答えて、実に“ざっくばらん”な発言をしていた。
セクハラなどの性的被害を告発する#MeToo運動に懐疑的な見方を示し、大物ニュースキャスターのチャーリー・ローズが違法な性的行為を告発され、解雇された一件に疑問を呈したのだ。
エミリーズ・リストの幹部は、ブルームバーグの招待を取りやめるかどうかを真剣に議論したと、関係者3人は振り返る。
だが最終的に、彼らはブルームバーグと距離を置くというリスクは冒せないと判断した。その理由は、ブルームバーグ自らが昼食会当日のスピーチで語っている。
「今回の選挙では、女性候補者を支援するために、私は過去の誰よりも多くの資金協力を約束します」。ブルームバーグはそう宣言したのだ。
(Kim Raff/The New York Times)

保守とリベラルを演じ分ける

この宣言は、口先だけのものではなかった。中間選挙で下院を奪還した民主党陣営に、ブルームバーグは1億ドル以上を寄付したのである。