【重松大輔】やみくもに頑張らず、「正しい努力」をする

2020/3/2
民泊仲介サービスの「Airbnb」やライドシェアサービスの「Uber」など、個人が所有するモノ・スペース・スキルなどの遊休資産を、インターネットを介して共有する「シェアリング・エコノミー」が、日本でも市場を拡大している。

シェアリングエコノミー協会代表理事の重松大輔氏は、その潮流を予見し、2014年にスペースマーケットを創業。さまざまなスペースを時間単位で貸し借りできるプラットフォーム「SPACEMARKET」を立ち上げ、日本のシェアリング・エコノミー業界を牽引してきた立役者の一人だ。

NTT東日本からベンチャーのフォトクリエイトへの転職を経て、37歳で起業家となった重松氏は、常に「新しいこと、面白いことにチャレンジしたい」という思いを抱いてきたという。現在も「世界中のあらゆるスペースをシェアできるプラットフォームを創る」というミッションの実現に邁進している、重松氏の半生と仕事の哲学に迫る。(全7回)

勉強もスポーツもできる優等生

両親は共に中学校の教師で、長男の私を筆頭に、3歳下に弟、7歳下に妹が、さらに18歳違いの妹もいるという家庭で育ちました。
といっても、末の妹とはほとんど一緒に暮らしたことはなかったので、妹にしてみれば「たまにやって来るおじさん」という感じで、今でも少し気恥ずかしいというか、ぎこちない雰囲気がありますね。
18歳離れた妹(中央の赤ちゃん)、弟と妹、両親、祖父母と。重松氏は前列右
共働きで兄弟姉妹が多かったこともあってか、自立心のある子どもだったように思います。親に「勉強しなさい」といったことを言われたことはなく、自分から進んで自習していました。
小学生のころは図書館に通って、松本清張や星新一を読みふけるような、ちょっと大人びたところがありました。
一方で、埋立地を開発したエリアに住んでいたので、周囲には空き地がたくさんあり、近所の友だちと野球をして遊んだりもしていました。
小学生時代、野球をする重松氏。相手の投手は高橋由伸(のちのプロ野球選手)で空振りした
勉強もスポーツもできるいわゆる優等生で、小学校では児童会長、中学校では生徒会長を務めました。塾にはほとんど通ったことがなく、中学3年生で夏期講習と冬期講習を受講した程度です。
母はよく「努力は人を裏切らない」と言っていて、その言葉が大人になった今も、私の軸になっています。