米フィンテック大手、銀行を買収 米国で初の事例(写真=ロイター)
日本経済新聞
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アメリカでは日本と異なり、銀行の親会社(bank holding company: BHC)も銀行規制の対象となります。
日本では、銀行の子会社が小売事業などを営むことについては、米国並みの規制がかかります。銀行子会社の事業会社は、当然、そうでない事業会社よりも資金繰りで有利になるからです。また、子会社の事業会社が、万が一倒産すると、親会社である銀行の預金者に悪影響があり得るのも理由の1つです。
ところが、日本の事業会社が銀行を買収して子会社として経営する場合には、銀行の親会社である事業会社は銀行規制の対象となりません。これについては、日本の銀行からは、「競争上、不公平だ」という声が上がっています。
話をアメリカに戻すと、アメリカでは銀行の親会社(bank holding company: BHC)も銀行規制の対象となり、自由に事業活動や投資活動を行えなくなります。もしもこの規制がなかったら、AmazonやGoogle、Facebookは10年前に銀行業に参入していたかもしれません。
また、フィンテック企業による初めての事例ですので、当局による慎重な審査が予想されます。1980年代の終わりに住友銀行がゴールドマン・サックスに出資した際には、規制当局(連邦準備理事会)からの審査により、出資比率やトレーニー派遣(研修目的での人事交流)などに制限がかかりました。トレーニー派遣に制限というのはあまりに細かい気がしますが、ウォール街のノウハウが東京に流出することを恐れたのかもしれません。
このような規制を踏まえて本記事を読むと、アメリカのフィンテック企業が銀行を買収しようとしているのは、相当の覚悟を持っての決断だと思います。