[ブリュッセル 18日 ロイター] - ユーロ圏財務相らは18日、理事会を開き、域内の景気が悪化した場合にユーロ圏として財政支出を増やす用意があると表明した。慎重ながらも公共投資拡大に向けて動き出す姿勢を初めて示した。

欧州中央銀行(ECB)や低成長の国が投資拡大を繰り返し呼び掛けてきたにもかかわらず、ユーロ圏は長年「おおむね中立的な」財政スタンスを維持してきた。ただ昨年に経済が鈍化したことや、新型コロナウイルスによって新たな景気低迷のリスクが高まったことで、ドイツが財政支出拡大への反対姿勢を転換した。

公表された共同声明では、ドイツに財政支出拡大を強いていないものの、域内の姿勢が変化したことを示唆。欧州連合(EU)の財政規律の見直しにつながり、より緩い内容に改定される可能性もある。

フランスのルメール経済・財務相は、会合に合わせて記者団に対し、全加盟国が財政支出の拡大に合意したと述べ、行き詰まりを打開したとの見方を示した。「大きな進展を遂げた。ユーロ圏の19カ国は数年ぶりに財政刺激が必要との見方を示した」と語った。

欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は、昨年の経済減速や2020年以降の軟調な見通しを受けた方針転換だと説明した。

ただ、声明は非常に慎重な姿勢を保っている。十分に資金がある国のみが投資を拡大することを強調しており、財政赤字が大きい国は除外。「安定・成長協定を十分に尊重した上で、下振れリスクが顕在化する場合には、集合体としての支援姿勢強化に向け、財政面での対応に違いを出すべき」とした。

ドイツのショルツ財務相も共同声明に同意。ドイツが来年、財政支出を増やす道を開いた可能性がある。ショルツ氏はこれまでも、景気低迷に対応するため財政支出を増やす用意があると発言している。ただドイツ経済が昨年急減速したにもかかわらず、 EU統計局(ユーロスタット)が先月公表した統計によるとドイツの19年1ー9月期の財政黒字は縮小しながらも高い水準を維持した。

ルメール氏は、より持続可能な経済への移行を促すためにグリーン関連の計画に公共投資をしやすくすべきだと述べた。グリーン投資はすでに、EUの財政規律の下で柔軟性が幾分認められているが、フランスとイタリア、その他の高債務国は裁量の余地を増やしたい意向。ドイツはこれまで、こうした見直しに反対している。