英国とEU、貿易協定めぐり対立 離脱後の協議に暗雲
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ちなみに交渉期間について「わずか11か月しかない」という期間をよく目にしますが、厳密には8か月です。今月いっぱいは欧州委員会が交渉姿勢を固めて指令を作る期間。交渉スタートは3月になるでしょう。また、年内いっぱいで移行期間が終わるとはいえ、12月31日まで交渉するわけにはいかないので議会批准の時間を1か月程度差し引くとデッドラインは11月31日でしょうか。つまり、3-11月の8か月間。次のアイルランド問題である漁業権問題をまだ日本語メディアはさほどクローズアップしていませんが、8か月では絶対無理というのが下馬評です。
英国はEUとアメリカの両方と自由貿易協定の締結に向けて協議を行っています。でも、それのために板挟みにある状況にあります。
すなわち、EUとの協定実現のためにはEUのルールに従う必要がある一方、アメリカとの協定実現にはアメリカが要求するルールに従う必要があり、相容れないからです。
例えば、一般的によく出される例は塩素で洗ったチキン問題。
アメリカでは雑菌の繁殖を防ぐためにチキンを塩素で洗うようですが、EUではこれは人体にとって有害だとして、輸入制限の対象になっている、とのこと。
どちらか一方を選ばないといけない関係にありますが、これまでEUの中にいた英国としては、圧倒的に取引量が多いのはEU。よって、ここでEUを選べば、ファーウェイ問題でギクシャクしている米英関係がさらに悪化しそう。イギリスはEUを甘く見ています。
EU全体のGDPはイギリスが抜けても15兆ドルあり、イギリスのGDPは3兆ドル弱です。
EU全体を1つの国と見なせば、実に5倍もの国力の差があります。
アメリカのGDPは20兆ドルあり、6倍もの国力の差があります。
EUはこれほどの規模の連合体であるため、アメリカと対峙できるのです。
確かに、イギリスはEUにおいては、GDPが第2位の国でした。
しかし、離脱してしまえば、単なる1つの国です。
イギリスとEUには国力に大きな差があるため、
貿易協定を有利に運べるはずはありませんし、
また、EUからすれば、EU全体を揺るがしかねない離脱ですので、
容赦しないと思います。
イギリスには、産業革命のときの輝きやEUにおけるプレゼンスはもはやありません。
現実を直視すれば、EUともアメリカとも、貿易交渉で引き分けにさえ持ち込めないのです。