【亀山×濱口】好きなことを仕事にしていい人、いけない人

2020/2/9
約3年ぶりに復活した「亀っちの部屋」。DMM.com会長の亀山敬司氏が各界で活躍する経営者や文化人を招待し、脱力系ながらも本質をついたビジネス論を展開する対談企画だ。
Season2ではこれまでのテキスト版に加えて音声版も配信し、より「生の声」を味わえるようになった。
*音声版はこちらからお聞きください(マナーモードを解除してください)
ビジネスデザイナーの濱口秀司氏を迎えた前回は、濱口氏が分析する「量子力学的経営者」の話、普段ほとんど休みを取らない濱口氏が、亀山氏の「逆コンサル」で1カ月の休暇を取った話など、縦横無尽なトークが展開された。
後編では、引き続き経営ストラテジストの坂之上洋子氏にも同席してもらい、「やりたいことを仕事にすべきか」「人を育てること」などについて話が繰り広げられる。
*前半はこちら

デジタルデトックスで動物に回帰

──前回、亀山さんのアドバイスで、普段休みをほとんど取らない濱口さんが1カ月の休暇を取ったことを聞きました。
濱口 いやあ、僕の中では「亀山休暇」と呼ぶくらい大きな出来事でした。休んでいる間はSNSにも一切投稿しなかった。
人間は普段、道具や情報を使って生きていますが、それを外していくと動物になるんだなと実感しました。
亀山 お、いいね。ちょっと哲学っぽくなってきたぞ。
濱口 ハンティングが好きでカナダやアラスカによく行く知人がいるんですが、人のいない山中で1週間もいると、「数キロ先に何か動物がいるな」とわかるようになるそうです。
濱口秀司(はまぐち・ひでし)/ビジネスデザイナー
ロサンゼルスの街でも、普段持っているツールを脱ぎ捨てて歩くと、やっぱり動物に戻る。感性が鋭くなって、周りのことに敏感に反応するようになります。
落ちているゴミすら面白いと思うし、なぜこの看板はここについているんだろうとか、世の中を見る解像度がぐんと上がる。スマホを持たないことが、こんなに楽しいんだと気づきました。
坂之上 でも、ホテルに戻れなくなりませんか。
濱口 それも含めて、自分は今どこを歩いてるんだろうという感覚が楽しい。というか「ホテルに戻らないといけない」という目的思考からも解放されて「ま、戻らなくてもいいか」とすら思えてくる。
しかも感度が上がると、時間感覚も変わる。新しいものをたくさん見て味わうから、流れる時間がゆっくり、そしてリッチに感じられるんです。
亀山 すごいな、めちゃくちゃ効果が出てるじゃない。人間は道具や技術を手に入れたぶん、失った能力もあるはずだけど、この経験でだいぶ動物に戻ったね。