【佐々木康裕】「常識はずれの変化」を面白がる者が勝利する

2020/2/9
新刊『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(NewsPicksパブリッシング)が話題の佐々木康裕氏が、ビジネスパーソン向けに「D2C時代の歩き方」を解き明かすインタビュー。最終回は、D2C時代に必要なマインドセットを考察する。

ユーザーの心をつかむ「世界観」

──D2Cブランドにとっては「世界観」が命だということですが、世界観の打ち出し方がうまいなと佐々木さんが感じるのは、どの会社ですか?
佐々木 ワービー・パーカー(Warby Parker)というメガネのブランドですね。
アメリカの作家、ジャック・ケルアックの未刊行作品の登場人物の名前を冠したブランドですが、彼らの世界観の背景には、「文学」「本」「図書館」といったメタファーがふんだんに織り込まれています。
ワービー・パーカーの店舗(Deidre Schoo/The New York Times)
商品の価格も手頃です。といっても、いわゆる激安メガネのように消耗品的な感じではなく、ファッションアイテムとして手が出しやすい価格設定になっています。
従来、それなりにきちんとしたメガネを買おうとすると、「これぞというひとつを選び抜く」という感覚だったと思うのですが、ワービー・パーカーでは自分に似合いそうな2~3個をまとめ買いしたり、シーズンによって使い分けたりしているユーザーが多いです。