[フランクフルト/ミュンヘン 26日 ロイター] - ドイツの総合電機大手シーメンス<SIEGn.DE>が、仏重電大手アルストム<ALSO.PA>のエネルギー事業買収の正式提案を行う用意を進めている。

シーメンスの関係筋によると、同社が検討している買提案は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の買収提示価格を若干上回るものの、現金支払い部分はGE案のほぼ半分程度の70億ユーロ以下にとどまる見通し。

関係筋は現金支払いの割合が低いことについて、シーメンスが自社の鉄道事業をアルストムに移管する計画が提案に盛り込まれていることや、アルストムの原子力発電や風力発電、 送電・配電(T&D)事業が買収の対象から除外したことなどが背景と話している。

シーメンス、およびアルストムはともにコメントを差し控えている。

アルストムのエネルギー部門をめぐっては、同社はすでにGEの提示した現金123億5000万ユーロ(168億ドル)超の買収案をめぐり協議を行っている。

ただ、仏政府からの圧力から、アルストムはシーメンスが対抗案を提示する余地を残してきた。GEもこれまでに期限を6月23日まで延期した。

関係筋の間からは、シーメンスが検討している提案に疑問を投じる声も聞かれた。

買収対象から除外されたアルストムの原子力・風力発電事業については、仏原子力大手アレバ<AREVA.PA>による買収案が浮上しているものの、原子力タービン事業を非原子力事業を切り離すことは難しいことから、問題が生じる可能性があるという。

また、シーメンスは鉄道事業移管計画と同時に、鉄道信号事業でアルストムと合弁事業(JV)の設立も提案する見通し。シーメンスは同JVの支配株式を保有したい考えだが、アルストムも過半数株の取得に関心があるため、ハードルになり得るという。

シーメンスは早ければ28日に正式提案する見通し。ただ、GEが期限を延長したことを受け、正式提案までに時間をかける可能性もあるという。