COP25、合意断念し先送り パリ協定ルール、対立解けず閉幕
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日曜日の夜にマドリッドから帰国しました。
誤解があるかもしれませんが、今回合意できなかったのは、パリ協定の一部の条文の運用ルールの考え方なので、これでパリ協定が破綻するとか運用期間に入れないとか、そういうことではありません。
今回の論点は、市場メカニズムの詳細ルールでした。CO2を減らすなら、削減のためのコストが少ない国・地域・案件でやればいい訳で(現状、非効率な工場などが多くあり、ちょっと投資すれば多くの排出削減が可能な国・地域とか)、削減したCO2の取引などを認める制度設計を議論したのですが、まぁもめました。
基本的に、あるイシューがもめだすと、交渉官たちは「ここで譲るなら、あっちでとろう」という感じになるので、戦線が拡大し全体が危うくなるというのも良くある話。
この世界には、実は「職業交渉官」というのがいて、彼らは自分が契約する国(国籍とは何の関係もなく、途上国の交渉官を欧州の環境NGOから転職した人が務めている、なんていうのはよくある話)にメリットを持って帰ること、自分の働きをアピールできことが重要なので、しゃんしゃんでまとまっても困るし、完全にブレークしても困るわけです。
ちなみに日本は6条をまとめるのに、各国の調整に相当貢献しました。小泉大臣は相当数バイ会談(他国とのサシでの議論)をこなし、最後まで残って演説をし、拍手を浴びてました。ほとんど報道されませんし、報道機関の方たちもご存知ないと思いますが、議長国(今回はチリ)が、最後のリマークスで特定の国に謝辞を述べるのは異例のことでしょう。
今回のCOPには、グレタさんはじめ多くの若者が集まっていました。このこと自体は歓迎するのですが、彼らの主張する原理主義的な思想が合意を阻んだ部分もやはりあると思っています。この点は字数かかるので、また別途。
追記)長谷川さん コメントありがとうございます。2回目の化石賞は確かに受賞しました。仰る通りで、化石賞は日本のメディアが最も騒いでいるところがあり、誤解されていると思います。
追記2)齋藤さんという方が「1年に1回というスケジュールは見直すべき」と書いておられますが、COPのように大がかりではなくとも、この条約の下の会議はかなり頻繁に開かれています。うーん、たしかにグレタさんのものの言い方には改善点は大いにあると思いますが、今回の決裂の原因を彼女に帰すのも違うとおもいます。決裂の原因は、意見の分裂というより、どの参加国もCO2削減は必要だと分かりつつも自国は削減の負担を最小化したいと思ってたからでしょう。
それは別として、グレタさんがこれだけ「アンチ」を生んでしまったことは、彼女が達成したいことに対して障害になるわけで、やり方を変える余地は大きいかなとはおもいます。まあでも例えばキング牧師とかあれだけinclusiveなメッセージを発しても当時の保守層の間ではアンチでした。まあ要は黒人が偉そうなことをいうのが気にくわない白人が多くいたわけで、、、グレタさんの場合も、どれだけinclusiveなメッセージを発しても、若い女性が偉そうなことをいうのが気にくわない人が一定数いるんだろうなあ、とは思います。