【北野唯我】「身だしなみ」への戦略的アプローチ術。鍵は「記憶のフック」「ご機嫌コスト」

2019/12/17
 “みだしなみ【身嗜み】:身のまわりについての心がけ。頭髪や衣服などを整え、言葉や態度をきちんとすること”(広辞苑より)

 社会のステレオタイプに合わせることを良しとする風潮が強かった「身だしなみ」。SNSで瞬く間にセルフイメージが拡散されていく時代に、ビジネスパーソンは「身だしなみ」をどのように心がけ、味方につければよいのか。

 著述家であり、新卒採用サービスを運営するワンキャリア・最高戦略責任者の北野唯我氏に話を伺った。

インターネットの普及でファッションは没個性化が進んでいる

──多様性が重視され、職場での服装も人それぞれという時代。身だしなみの概念はどう変わってきているのでしょうか?
北野 僕、実は逆だと思っているんです。服に関しては、全体的には没個性化が進んでいるなと。
 就職活動のスーツって、20〜30年前はもっとバリエーションがあったんです。多様性の時代と言いながら、今のほうが画一的なスーツを着ている。
 また、ファストファッションが人気になっているということは、埋没した服を着る人の絶対数が増えているということでもあります。
北野唯我(きたの・ゆいが)/著述家、ワンキャリア最高戦略責任者
兵庫県出身。新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局で中期経営計画の策定、MA、組織改編、子会社の統廃合業務を担当。その後、ボストンコンサルティンググループに転職し、2016年ワンキャリアに参画、最高戦略責任者。デビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が16万部突破。2作目『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)が10万部を突破。最新作に同時発売の『分断を生むエジソン』(講談社)、『OPENNESS 職場の空気が結果を決める』(ダイヤモンド社)がある。
──確かに、「これを選んでおけば無難」という空気感が世の中にあるかもしれません。こうした中で、「差別化して個性を打ち出すことが1つの武器になる」ということでしょうか。
北野 そうですね。例えば、よく読まれる文章と売れる文章って、実は違うんですよね。
 よく読まれる文章は共感を生まなければならないので、みんなが求めるもの、同じようなものであるほうがいいと思います。
 一方、売れる文章には独自のスタイルが必要です。村上春樹さんの独特の文章も、人によって好き嫌いは出ますが、村上春樹さんが書いたとはっきり分かりますよね。スタイルがないと売れないし、オリジナルになれない。
 同じように、自分の個性を戦略的に印象づけて身だしなみをマネジメントしていくことは、ビジネスパーソンにも求められていると思います。
 今、漫画の脚本を担当しているんですけど、僕がよく漫画家さんに伝えるのは、「このキャラクターって、こういうシーンでこんな服着ないのでは?」ということ。
 「物語の主人公になるキャラクター」というのは、見た目からして他のキャラクターと違うことが条件だといわれます。みんなと同じだったら、魅力が出ないですから。
 そこで基本的には、そのキャラクターを象徴するようなアイコンが必要になります。わかりやすい例だと、『ONE PIECE』のルフィ=麦わら帽子とか。何かしらの「記憶のフック」となるものをキャラクターに与えることが大切なんです。
 ビジネスパーソンの場合も同じです。SNSが広まり、コンテンツやストーリーが重要と言われる時代においては、「記憶のフック」を戦略的に作ったほうが成功しやすいのではと思います。

身だしなみには「行動原理」が表れる

──メディアには出てない、一般のビジネスパーソンの場合はどうでしょうか?
北野 社内で自分を印象づけるために、自分の見た目を戦略的に変えていくというのは、アリだと思います。例えば服装には、「どういうキャリアを歩みたいか」「何をしたいのか」など、その人の行動原理が表れますから。
 最近うちの会社でデザイナーが足りなくなって、社内の人材から新たに1人担当を選ばないといけなくなったんです。僕の中では候補が2人いました。どちらもセンスのよい女性です。
 1人は、自分のスタイルにこだわりがあって、同じ系統の服をずっと着ている人。もう1人は、いろいろな系統の服装を試して、髪型も変えて、何が自分に似合うのか検証している人。
 どちらのほうが、よりデザイナーに向いていると思いますか?
 僕が選んだのは、後者の人でした。彼女はデザイナーとしては未経験でしたが、僕はできるだろうなと思い、声をかけたら、「やりたい!」という返事をもらって。いざ、デザイナー業務をはじめたら、メキメキ急成長しました。
 いわゆる、アーティストではなく、デザイナーは、クライアントのニーズやマーケットのトレンドに合わせてPDCAを回せる人が向いている。彼女の場合、いろいろな服装を検証するというスタンスが、デザイナーとしての資質に通じるものがあると思いました。
 一方で、自分のスタイルにこだわりがあるタイプの人は、クライアントと相性が合えば最高のパフォーマンスを発揮するだろうけど、そうでなければ外してしまう可能性があると思ったんです。
 つまり、身だしなみへのこだわりが仕事のスタイルにも表れているということ。髪型や選ぶアイテム、歩き方にも、その人の「行動原理」が如実に現れるんですよね。
 やりたいことを実現できる人、キャリアで成功できる人というのは、まず自分のことをよく知っていますよね。自分が一番心地よい状態、一番得意な戦い方を理解している。そして、行動原理に基づいて、自分がパフォーマンスを発揮しやすかったり、ポリシーを表現できる見た目を選んでいるという印象があります。

自分の「ご機嫌コスト」を理解する

──身だしなみには「人からどう見られるか」という動機のほかに、自己啓発や自己満足という動機もあると思います。
北野 大人、というか、リーダーの最初の役割って、「自分で自分のご機嫌をとること」だと思うんです。立場が上になるほど、その人がちょっと不機嫌なだけでチームの雰囲気が悪くなりますよね。
 なので、どういう状態のときに自分がご機嫌なのかを知っておくことは、大人としての大切な役割だと思います。環境と服装が整っていなければ1日頑張れないという人もいれば、部屋が散らかっていても、寝癖がついたままでも1日中ご機嫌な人もいますよね。
 選ぶものは人それぞれですが、「自分のモチベーションを上げる条件」と「ご機嫌コストがどのくらいか」ということは、全員が理解しておいたほうがいいと思いますね。
 女性の場合はメイクをしたり、マッサージに行ったりなど自分のご機嫌コストを理解して、投資している人が多いと思いますが、男性の場合は、意外と自分のご機嫌コストを理解していない人が多いかもしれません。タオルであれば、安くて使えるものならなんでもいい、というような。
──本記事は「フィリップスS9000プレステージ」にスポンサードいただいています。シェーバーもご機嫌コストへの投資になり得るのでしょうか?
北野 そうですね。「使えればなんでもいい」という選び方をして、実は自分のご機嫌コストを超えずに不機嫌なまま出社する、というパターンはあり得るかもしれませんね。何が自分にとってストレスなのかに気付いていなくて、回避ができていないというか。
 そういう意味では、シェーバー1つとっても、それを使うことで自分自身のモチベーションを高める可能性だってあると言えます。
──今回、「フィリップスS9000プレステージ」を試していただきましたが、どんな印象でしたか?
北野 この取材の依頼が来たとき、実は断ろうと思っていたんです。でも、たまたまなんですが、普段からフィリップスの製品を使っていて、それでお引き受けしようと思いました。
 その前は別のメーカーの往復式シェーバーを使っていたのですが、知人の勧めでフィリップスの回転式を試してみたら使いやすくて、もう5年くらい愛用しています。
 僕はどちらかというと、肌が強いタイプではないんです。往復式のシェーバーと比較すると、回転式はいろんな「面」で肌に当たるから、肌にもやさしいし、深剃りもできる。
 往復式でも丁寧に何度も剃れば、剃れないことはないですが、朝の忙しい時には、やはり面倒ですよね。肌にもやさしくない。
 僕は朝の支度は10分程で済ませてしまうのですが、「フィリップスS9000プレステージ」なら、忙しい朝でも、簡単に、きれいに、仕上がる。本当にいいですよね。広告だからというわけではなく、普通にお勧めできます。
 「フィリップスS9000プレステージ」を最初に見たときは、まず見た目がおしゃれだと思いました。これだけでテンションが上がる人もいるでしょうね。
 あと、このシリーズは手入れも楽なんです。水洗いだけでいいし、刃が丈夫だからあまり替えなくても長持ちしますよね。
 僕は、仕事で最高のパフォーマンスを発揮するための「ご機嫌コスト」が高いほうなんです。特に、物語をつくるのは莫大なエネルギーがいるので、集中できる環境を整えなくてはいけません。仕事に集中するためのルーティンに最新のヘルステックを使うのは有効かもしれませんね。
 身支度の道具も自分が気持ち良いと思えるかをすごく気にするのですが、フィリップスのシェーバーはずっと使うような気がしますね。
(編集:野垣映二 構成:村上佳代 デザイン:小鈴キリカ 撮影:田中由起子)