【人間力】「自分とは何か」を問う力を鍛えよう

2019/12/12
人生100年時代、年齢問わずに「学び」が問われる。
脳科学者で東京大学教授の池谷裕二氏が登場する今回のプロフェット第1回・第2回を通じ、人間は何歳になっても新しいことを学べることが分かった。将来、AIを使えば、幼少時でないと身に付かないといわれる英語の聞き分け能力なども、大人になってから身に付く可能性だってある。
そんな今、池谷氏が、近年関心を寄せているのが「メンタルローテーション」だ。これは、頭の中で思い浮かんでいる物体を頭の中で回転させて眺める能力のこと。
メンタルローテーションは人間のあらゆる能力に関わっている。「知能指数(IQ)」とも関係があるほか、ある解決方法を別の問題に転用する「機転を利かせる力」、他人の視点に立ち、「相手を思いやる力」とも関係しているのだという。
まさに人間を人間たらしめている能力ということになる。
ありがたいことに、メンタルローテーションは努力次第で伸ばすことができると池谷氏は言う。
最終回では、メンタルローテーションがいかに人間の「根源」に関わっているかについて、脳研究の醍醐味を踏まえながら語ってもらった。
池谷裕二(いけがや・ゆうじ)/東京大学大学院薬学系研究科教授。主な著書に「進化しすぎた脳」「脳には妙なクセがある 」「メンタルローテーション「回転脳”を作る」がある。

空間認識がアイデンティティの根幹

──メンタルローテーションはサルやアシカ、鳥などにも備わっているといいますが、人間の優れた部分とは何なのでしょうか。