【解説】時代の象徴「D2C」のすべてを語ろう

2019/12/3
企業とユーザーのコミュニケーションチャネルがSNSへと移り変わった昨今、メーカーが商品開発から広告宣伝までを内製し、ユーザーへ直接商品を販売する「D2C(Direct to Consumer)」のビジネスモデルが急拡大している。
海外では特に投資家が注目する分野でもあり、一部のD2Cスタートアップの中には、1億〜3億ドルといった大規模な資金調達を行う企業も登場した。
「D2Cは単なるビジネスモデルの話ではない。ブランドと顧客の関係性を不可逆に変えてしまうほどのインパクトを持った“時代の象徴”です」
と語るのは、2020年1月に『D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』を刊行予定の、Takramでビジネスデザイナーを務める佐々木康裕氏だ。
佐々木氏に「D2C」の全体像について解説してもらった。
NewsPicksアカデミアでは、秋学期ゼミで「D2Cのすべて 〜小売×デジタルの未来〜」(講師:佐々木康裕氏)を開講します。
佐々木 康裕/Takram ディレクター・ビジネスデザイナー
クリエイティブとビジネスを越境するビジネスデザイナー。デザイン思考のみならず、認知心理学や、システム思考を組み合わせた領域横断的なアプローチを展開。エクスペリエンス起点のクリエイティブ戦略、事業コンセプト立案を得意とする。D2Cを含むリテール、家電、自動車、食品、医療など幅広い業界でコンサルティングプロジェクトを手がける。ベンチャーキャピタルMiraiseの投資家メンター、グロービス経営大学院の客員講師(デザイン経営)も務める。2019年3月、ビジネス×カルチャーのメディア「Lobsterr」をローンチ。

仲介者がいなくなった

──「D2C」という言葉をここ数年で急に聞くようになりました。佐々木さんは「D2C」についてどう解釈されていますか。
佐々木 私は「D2C」は、デジタルが起こした「ブランドと消費者との関係のパラダイムシフトの第1形態」と理解しています。
これはどういうことかー。
実は歴史的には「D2C企業はこれまで一つも存在しなかった」と言われています。