ミスターミニット迫氏と宇田川准教授が語る、「経営と現場のナラティヴの溝」と「企業における依存症」とは
コメント
注目のコメント
ミニット・アジア・パシフィック代表の迫俊亮さんと対談をしました。『他者と働く ーー「わかりあえなさ」から始める組織論』の読後対談企画第1段です。今回は、迫さんと私が思想的にどの点において強い繋がりがあるのか、ということをじっくり考え、その後に、今日の「依存症としての社会」が抱える課題について考えていきます。
迫さんの著作『リーダーの現場力』は、私の本の中でも取り上げました。迫さんは、ユニゾン・キャピタルから派遣された「プロ経営者」として、ミスター・ミニットの再建に着手し、見事に再生を成し遂げられました。
しかし、一般的なプライベート・エクイティ・ファンドから派遣される「プロ経営者」のイメージとは大きく異なり、極めて対話的な実践を重ねる中で、組織と経営を立て直されます。その中で大切にされたことは、「リーダーの現場力」、私の本で言うならば現場との対話です。
このように書くと、迫さん自身は「現場からものを考える優しいリーダー」というイメージで考えられるかもしれません(それも事実だと思います)が、しかし、それだけでは企業再生は成し遂げられません。対ファンド、株主に対しては、現場を大切にしているだけでは、うまくいかないのは言うまでもないことです。その意味で、大切なことは、「成果を生むリーダー」でなければなりません。
実際に上に立つということは、厳しくその成果が問われます。ましてや「プロ経営者」なら尚更です。
こうした板挟みの只中で、現場を変革し、かつ、結果を出すための何が必要だったのでしょうか、どのような利害関係者との対話が必要だったのでしょうか。
この対談を通じて、改めて優れたリーダーとは何か、ということを考えました。
同時に、我々は資本主義社会の中で、資本主義をより良くするためにも、成果を出さなければなりません。
いかに対峙するナラティヴの溝に、橋を架ける想像力を持ち、かつ、それを実践することが求められているのか、改めて非常に強いメッセージを受け取りました。
また、今まで色々な方に対談をしていただきましたが、今回は自分の中で全開で議論を深めることができました。
というのは、迫さんはご自身の著作にも書かれていますが、大学院時代に社会学を学ばれ、彼の対話力・現場力は、ミルズの「社会学的想像力」から来ているとのことだからです。
本当に私にとっては素晴らしい時間でした。