高潮続くイタリアのベネチア 被害額は1200億円
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注目のコメント
ベネチアの浸水被害には地盤沈下や海面上昇という理由がないわけではありませんが、要因として大きいのは海面の副振動と、アドリア海に南風が吹き込むことでの吹き寄せによる高潮です。
ここ2週間ほどは、イベリア半島から南仏にかけて低気圧が発達することが多く、アドリア海では低気圧による南風が強く吹く日が続きました。これだけでも吹き寄せによりある程度潮位が上昇します。
また、副振動というのは外洋からやってきた局地的に潮位が高い領域が、狭い湾などに入り込んで振幅が大きくなり、沿岸で潮位変動が大きくなることを指します。日本でも長崎湾で「あびき」といわれる大きな潮位変動が観測されることがあります。
アドリア海の場合は副振動の周期がおよそ21時間といわれており、また12時間の別の周期の副振動もあることから、いわゆる天文潮位と重なって強め合ったり弱めあったりすると、一日の潮位変動が極めて大きくなることがある、きわめて特殊な状況です。
ベネチアは2mの高潮で市内の9割方が水没するといわれていますが、ここ100年ほどの記録では、1966年には194cmという最高位の高潮を観測しています。ちなみに2位は先週12日の187cmです。
気圧配置のパターンが悪いことも含めて地球温暖化のせい、というのは現時点では少々乱暴です。ただし、温暖化による海面上昇も30年で10cmほどあり、これを無視することはできません。(※別記事とほぼ同じコメントです)
ヴェネツィアを舞台にした日本のアニメ「ARIA」ではほのぼのとした描写がされている「アックア・アルタ(作中ではアクア・アルタ)」ですが,実際のところは,洪水被害をもたらす天災に他ならないものです。
(日常系のアニメに似つかわしくない描写が出てくるのもおかしいので,アニメを批判しているわけではありません。イタリア語習得のためにイタリア語版を購入して結構見ていましたが,アニメでは,実際のヴェネツィアは水没したとかいうかなり過激な設定だった気も・・)
ヴェネツィアは,特に秋冬のシーズンに今回のような大きな被害が出てしまう危険性がある場所で,50年以上前から対策が求められているのですが(その頃にも大規模な洪水が起こったため),工事費用に関連する汚職事件があるなどして,対策工事が全っ然予定通りに進まず,もはや手遅れであるとの指摘もなされているような状況です。
(なんともイタリアらしい,という声もありますが,正直洒落になってないです)
抜本的な対策には引き続きかなりの費用が掛かるとは思うのですが,歴史的・文化的価値が高いヴェネツィアを何とか守って欲しいというのが率直な気持ちです。(安定的な観光収入が期待できる場所でもありますし,そんなに無茶な話でもないはず)