イスラエルと停戦合意 ガザ過激派、死者34人に
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この「停戦」はすでに破られており、今もガザ地区側から、小型ミサイルがイスラエル南部に発射されています。なお、「死者34人」とは、全てイスラエル軍の攻撃で死亡したパレスティナ人です。イスラエル側には死者は出ていません。
ミサイルを撃っている「ガザ過激派」というのは、パレスティナ・イスラミック・ジハード(PIJ)と人民抵抗委員会(PRC)です。今回の攻撃の激化は、イスラミック・ジハードの軍事指導者がイスラエル軍に殺害されたのがきっかけです。
パレスティナ人が統治するのは、ヨルダン川西岸地区とガザ地区ですが、ミサイルが発射されるのは、専らガザ地区からです。ガザ地区を実効支配しているのはハマース(イスラーム抵抗運動)ですが、今回ミサイルを撃っているのはハマースではありません。権益を持つようになった組織というのはだいたいそうなりますが、ハマースはイスラエル軍と戦うと失うもの(ガザ地区支配)があるので、今はイスラエル軍と戦うのは避けています。
一方、イスラミック・ジハードと人民抵抗委員会といった小さめの在野の組織は失うものは自分たちの命くらいなので、積極的にイスラエル側への攻撃を続けていました。資金と武器を彼らに提供しているのはイランです。もっとも、それほどの攻撃力はありません。
結局、彼らに攻撃をやめさせようとすると、イスラエル政府としては、ハマースを締め上げてハマースに取り締まりさせるというのが一番有効です。イスラエルの同盟国でガザ地区に隣接するエジプト政府を通して、ハマースの補給を断つと脅すのが一つの方法です。もう一つは、イスラエル軍のガザ地区全体への攻撃をちらつかせることです。
ハマースは、身内のイスラミック・ジハードは人民抵抗委員会を取り締まるとパレスティナ人の間で不人気になりますが、ガザ地区支配という権益を失いたくないので、押さえつけにかかるでしょう。今回の停戦は、国連のニコライ・ムラデノフ氏がカイロに赴き、エジプトに仲裁を依頼して実現した。ただ、不安定な停戦合意であることには変わりない。そもそも、最も大事な点を忘れてはならない。イスラエルとパレスチナの対立は長く続いているが、今日の事態の直接的な契機は、約60人の死者を出した2018年5月14日の衝突だ。要するに、在イスラエルのアメリカ大使館がエルサレムに移された時である。