【解説】ミレニアル世代の新しい聖地「ベルリン」
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シリコンヴァレーの源流の一つがカリフォルニアのヒッピー文化でであるというのは正しいでしょう。ヒッピー文化というのはつまり、既存の権威への反抗、IBMのような圧倒的に巨大な管理能力に支配されない生き方をつくろうとする文化です。シリコンヴァレーの文化は、結局、マイクロソフトやアップル、GAFAのようなものに変貌していきました。資本の論理の方が強かったわけです。
ベルリンは、ドイツの中では際立ってヒッピー文化のようなものが集まる都市です。これは戦前からそうで、ジャズや前衛芸術といった文化はベルリンに集中していました。東ドイツが併合されてからは、東西ベルリンの中立地帯と東側は大規模な再開発が進むとともに、まだ地価の安かった東側に旧新左翼やアーティスト志望の若者が集まりました。
ベルリンの一部がシリコンヴァレーになるか、は、懐疑的にならざるをえません。少なくとも全く同じものにはならないでしょう。ドイツは、結局、伝統的な大企業が強い国です。マイスター文化も、裏を返せば、起業を促すというより、利益保守のための職能集団を保護するという側面があります。
以下、シリコンヴァレーが持っていてベルリンが持っていないもの:
①スタンフォード大学 △ フンボルト大学やベルリン自由大学は、人文学においては世界的にトップ水準であるものの、理工系中心ではありません。大学ランキングだと100位以下です。ただし、ランキングで学生の技術開発や起業の能力は測れないし、医学においては伝統的な強みがあります。
②移民 △ ベルリンは、ドイツにおいては移民人口が多い都市です。ただ、移民が大きなチャンスを見出して集まる街かというと、微妙なところです。シリコンヴァレーの原動力は、ヒッピー文化と、米国に莫大なチャンスを見出した外国人留学生でした。少なくとも、そういう、資本の力で人々をガムシャラに駆り立てる魅力は、薄いと思われます。
③ 地方の自立性と独自性 △ ベルリンは首都です。前衛芸術と共産党の本拠地でありながら、結局ナチスに呑まれてしまったのは、元々保守的なプロイセンの首都であったことと、連邦国家であるドイツを束ねる中心地として、中央集権的な権力が大企業などから期待されたからです。今のベルリン市議会は緑の党と左翼党が強いですが、今後は違う勢力が台頭する可能性が高いです。個人データの保有は「アメリカでは巨大企業、中国では国家、そしてEUでは個人」という3軸。という解説はとてもわかりやすい。
「エコジア(Ecosia)」の植樹という発想は特段新しいわけではありませんが、個人の情報は個人のものという明確なポリシーの上に成り立っている。
チャレンジャーバンクで急成長しているN26の話題も登場します。新しい発想のスタートアップを生むベルリン。欧州発のムーブメントはロンドンからベルリンに移っているように感じました。「ヒッピー資本主義というべき大きな経済的成功を収めました。アップルという企業も、こうした背景から生まれています。」
分かっていても、つい見落としがちな文化的背景と経済発展の関係。
次はどこ!?というNEXT探しより(ある意味どこにでも起こりうることなので)個人的には、そのカルチャーベースが別のものに変わった時の先が気になります。
サンフランシスコに住んでいる友達は物価が高すぎて(年収1500万でも低所得と言ってました…)キツイとボヤいてました。年収2000万でもキツイという人も。矛盾しますが、同時に物価が安く年収も上がらない日本を心配する声も海外からよく聞きます。