[ワシントン 6日 ロイター] - 米中の「第1段階」の通商合意の署名が12月にずれ込む可能性があると、米政府高官が6日明らかにした。条件や開催地を巡る協議がなお続いているという。

同高官は、第1段階の合意が達成しない可能性もまだ残されているとしつつも、達成する確率の方がより高いと述べた。

合意文書に署名する米中首脳会談の新たな開催地を巡ってはこれまでに数十の候補地が提案されたという。高官によると、来月3─4日に北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催される英ロンドンが候補地に上がっており、トランプ大統領と習近平・中国国家主席が同会議に後に署名する可能性がある。高官はロンドンが「検討されているが、何ら決定はしていない」と述べた。

その他、欧州やアジアの都市が含まれるが、欧州となる公算が大きく、スウェーデンやスイスなどが候補国に上がっているとされる。

トランプ大統領はこれまでに米国内有数の穀倉地帯とされるアイオワ州で署名する可能性を示していたが 、その可能性は排除されたもようという。また、中国からギリシャとの案が出されているものの、複数の米政府筋はその可能性を否定している。

署名は当初、今月中旬に開催が予定されていたチリ・サンティアゴでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、トランプ大統領と習近平・中国国家主席が合意に署名する算段となっていた。

また、中国が第1段階の合意の一環として求めている対中関税の撤回についても協議される見通しとなっているものの、合意に向けた進展を頓挫させることはないとみられているという。

来年の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領が議会の大統領弾劾調査の圧力にさらされていることを踏まえ、中国側は早い時期での合意こそが最良の条件を引き出せるとにらんでいるとみられると、同高官は指摘する。

中国通商交渉団に近い筋によると、中国は米政府に対し「可能な限り早い段階にすべての関税を撤廃する」よう引き続き要請しているという。

ホワイトハウスのディア副報道官は「交渉は継続しており、第1段階の合意文書を巡り進展している」とし、署名の開催場所については「決まった段階で発表する」と述べるにとどめた。

*内容を追加しました。