(ブルームバーグ): 米グーグルのスマートフォン「ピクセル」は、ソフトウエアプログラマーのノウハウに支えられた「iPhone(アイフォーン)」をしのぐカメラが常に特徴だった。しかし、新型スマホ「ピクセル4」が発売された時点で、そのリードが失われた。米アップルの新型「アイフォーン11」のカメラの改善と、自社製品の性能が十分向上しなかったことが理由だ。

アルファベット傘下のグーグルは、ピクセル4を初めて米4大通信事業者の全てを通じて販売し、価格も高級機種並みに設定した。画面サイズ5.7インチのピクセル4は799ドル(約8万6000円)からで、6.3インチの「4XL」は899ドルから。アイフォーン11より少なくとも100ドル高いが、多くのアップルユーザーが米国で必要不可欠と考える「iMessage」のようなソフトは搭載されていない。

アップルのアイフォーン11と「11Pro」は、照明の暗い場所での画質を向上させ写真でグーグルとの差を埋めた。また、カメラのソフトが必要に応じて「ナイトモード」を自動的に有効にすることで、写真撮影を容易にした。動画の質に関しては、アップルは他の端末メーカーに引き続き大きく差をつけている。

カメラの優位を失ったピクセル4が、飽和状態のスマホ市場で存在感を示すのは難しい。デザインは実用的で、アップルや韓国サムスン電子のより洗練された端末と比較すると特徴に欠ける。グーグルのスマホ市場のシェアは1桁で、目玉となる特徴なしで販売を続けられるほどユーザーの忠誠度も高くない。

グーグルはアップル以外でも、サムスンの充実したスマホラインアップや、多数の中国メーカーと競合する。ワンプラスや小米、華為技術(ファーウェイ)は、大容量バッテリーや超高速充電に加え、次世代通信規格「5G」のオプションも提供しており、コストパフォーマンスに勝る。中国メーカーの端末に搭載されたカメラはピクセルには及ばないが、大きく遅れは取っていない。

バッテリー寿命向上やカメラの改善のおかげでアイフォーンの需要が予想を上回ったアップルに対し、グーグルはそれに匹敵する改善を実現できなかった。スマホ市場の現状を打破する能力が最も高く、モチベーションも最も高いはずのグーグルだが、そうした課題に本気で取り組むことなくさらに1年を費やした。

原題:Apple Just Killed The Google Pixel’s Killer Feature: Review(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:Tokyo Vlad Savov vsavov5@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Edwin Chan echan273@bloomberg.net, Alistair Barr、Peter Elstrom

©2019 Bloomberg L.P.