[24日 ロイター] - 米半導体大手インテル<INTC.O>が24日発表した第3・四半期決算は、データセンター部門の売り上げが伸び、売上高と利益とも市場予想を上回った。通期の売上高見通しも引き上げた。

チップ需要に対する米中貿易戦争の懸念を緩和する材料となり、同社株は引け後の時間外取引で3.5%上昇した。

第3・四半期の売上高は191億9000万ドルで、前年同期比横ばい。リフィニティブのIBESデータによる市場予想180億5000万ドルを上回った。

特別項目を除く1株利益は1.42ドル。市場予想は1.24ドルだった。

売上高に最も貢献しているクライアント・コンピューティング部門の売上高は5%減の97億ドル。利益率がより高いデータセンター部門は4%増の64億ドルの売り上げとなった。ファクトセットがまとめた市場予想はクライアント・コンピューティングが96億ドル、データセンターが56億2000万ドルで、両部門とも予想を上回った。

デービス最高財務責任者(CFO)は、今年のデータセンターへの企業支出は大半が下期になると予想していたとした上で、「第3・四半期のデータセンター部門はわれわれの予想以上に好調だった」と語った。

Cascend Securitiesのアナリスト、エリック・ロス氏は、インテルの一部ライバル企業のサプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>も、旺盛なデータセンター需要を予測しており、市場全般に回復が広がっているようだと指摘した。

インテルのデータセンター部門の売上高のうち約2億ドルは中国企業からで、デービスCFOによると、データーセンターを持つ企業が米中貿易戦争を巡る懸念から早めにチップを購入したとみられることが寄与したという。

ただ、サミット・インサイツ・グループのアナリスト、キンガイ・チャン氏は、関税を巡る懸念を背景にした購入前倒しはインテルの業績をそれ以上に押し上げていると指摘。「サプライチェーンの在庫消化につながるとみられ」、第4・四半期と来年第1・四半期の売上高は鈍化する可能性があるとの見方を示した。

デービスCFOは、クライアント・コンピューティング部門の売上高については、エントリーレベルのPC向けチップを十分製造できていれば、さらに増加していた可能性があるが、需要に対応できなかったと説明した。

スワン最高経営責任者(CEO)は、アナリストとの電話会見で、こうした不足分を補うために外部のサプライヤーの利用を検討するかとの質問に対し、インテルはこれまでにも利用したことがあり、検討するとの意向を示した。

第4・四半期の見通しは、売上高が192億ドル、調整後1株利益が1.24ドル。リフィニティブのIBESデータによる市場予想は売上高が188億2000万ドル、1株利益が1.21ドル。

インテルは通期の売上高見通しは710億ドルとし、従来予想の695億ドルから引き上げた。アナリストの予想は694億3000万ドルだった。

同社はまた、取締役会が自社株買い計画の200億ドル増額を承認したと明らかにした。

取り組んでいる半導体の小型化では、10ナノメートルへの移行が順調に進んでいるとし、次世代の7ナノメートルに関しては2021年までに投入できるとの見通しを示した。