東大生は「何がしたいのか」分からない

2019/10/19
今回のテーマは、「東大至上主義は正しいのか?」。東大卒、教育改革実践家 藤原和博氏、東大卒、リブ・コンサルティング代表取締役 関厳氏、早大卒、慶應義塾大学大学院特別招聘教授 夏野剛氏、東大理IIIに子ども4人を合格させた佐藤亮子氏、計4名をゲストに迎えて議論を交わした。
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古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、観覧ゲストで現役東大生、張 奕沖氏が番組中にフリップに書いた「コモディティー」に決定。
番組内では張氏が「コモディティ化」という言葉を使ったことに対して、世間でそれほど意味が浸透していない用語を当然のように使用するところが「東大生の悪いところだ」とゲストから集中砲火を浴びる場面もあった。
そのとき張氏はどう感じていたのか。
また、現役東大生として「東大至上主義」についてどう感じるのか。番組収録後にお話を伺った。

10歳のときから東大を意識していた

 コモディティという言葉を使ったのは、あの場では誤りだったなと後悔しました。
フリップに書いたときは、それほど意識していたわけではなかったので、当然伝わると思っていた部分はあったかもしれません。
あとは、僕が説明すればいい、とも思っていたし、それをどうにか口頭で伝えようとしたけど上手くいかず……高慢な態度ととられてしまう部分はあったと思うので、反省ですね。
そもそも張氏が東大を目指したきっかけはなんだったのか。
 動機は?と問われたら、(良い)環境を取りに行った、と答えます。
ただ、そこまで具体的な目的をもっていたというよりは、当然行く道だと思っていたという方が正しいかもしれません。
両親は華僑出身で東大出身ではないですが、国内では学歴の高い大学に通っていました。
意識の高い両親のもとで、中学受験で私立の学校に入り、同級生の多くが東大を目指すような環境にいました。
東大を意識しはじめたのは10歳の頃からです。
幼い頃からドラえもんの知育本などを与えられたり、決してスパルタではなかったですが、自然と勉強をしようと思う家庭環境にはいたかもしれないですね。
東大に入ってみて、やはり周りの学生の優秀さは実感します。
同級生にも先輩にも尊敬できる人が多いです。授業は正直退屈ですが……。
言葉が悪いですが、東大生はやはり効率の良い勉強の仕方を知っているので、授業を真面目に受けなくてもテストだけ簡単にパスしてしまうことはできます。

何をしたいのか分からない東大生たち

優秀な両親のもとに生まれ、恵まれた環境で育った張氏。
当然のように東大に入学したと聞けば、これからも順風満帆な人生が待っているようにも思える。
しかし、そんな彼は今とある課題に直面しているという。
 同級生や先輩にも「社会のレールの上を上手に歩いてきただけ」の人が多くいるんです。
番組内で、東大は入学試験の質は高いが、育てるという点では疑問だという意見がありましたが、私もまさにそう感じます。
それは退屈な授業のせいだけではなく、僕たち自身が「何をしたいのか」わからないことも原因でしょう。
「てっぺんを目指す」という極めてシンプルな目標を目指して大学に入った人たちにとって、何か特定のものを熱狂的に愛したり、情熱をもって打ち込む、というのは親和性が低いのだと思います。
内定を取った先輩が「でも、自分が本当にやりたい仕事じゃないかもしれない」と悩んでいる姿を見たこともあります。
そもそも何をしたいのかわからない、という同級生も多くいます。
東大出身でマッキンゼーで勤めたあとに芸人になった石井てる美さんという方がいます。
彼女は東大を卒業して、世界的にも有数なコンサルティング企業に入社しました。
しかし、自分が本当にやりたくない仕事だった上に、多忙を極めていく中で芸人になりたいという想いが強くなり、キャリアを捨てワタナベエンターテイメントのタレント養成学校に入学したといいます。
そういう方のお話を聞いていると、自分もただなんとなく目の前の道を歩いているだけではいけないのだろう、という気持ちが湧いてきます。
東大入試をクリアできている時点で、東大生は勉強の仕方を知っている。
だから他分野で興味関心をもつものができた場合、それをマスターするのも速いのではないか、という藤原氏の指摘も番組内であった。
 そういう部分は確かにあると思います。
ただ、そういう効率的な部分ではなくて、僕たち東大生に必要なのはもっと情熱的に打ち込める対象なのだと思います。
それを探しあぐねている人は多いような気がします。
僕自身はいま二年生に上がって、就職活動が始まる前に改めて自分の進路を考え直しています。
それは、たとえば企業のインターンに行ったり、社会人に会いに行ったり、自分で受験用のアプリなど独自のサービスを始めてみたり、様々です。
とにかく今はそういう、自分の直感を大切にしてみて、いくつも経験を積みたいです。
その先に何か発見や気づきを探したいと思っているんですよね。
今回は東大生至上主義というテーマでしたが、正直、現役の東大生の立場からしたら、全くそんなことは思いません。
むしろ、最近では、慶應義塾生の優秀さを感じる場面の方が多いかもしれないです。
彼らのバイタリティには学ぶものがありますよ。

10月22日は「結婚は時代遅れなのか?」

日本で増え続ける未婚の男女。
2015年の国勢調査では、男性の生涯未婚率は24.2%、女性は14.9%となり、晩婚化・未婚化に歯止めがかかりません。
また、価値観の多様化などを背景に、「結婚できない」わけではなく、「あえて結婚しない」道を選び、趣味や仕事に生きる人々も増えてきています。
多くの人が「自分らしさ」を求めるようになった現代において、結婚はすでに時代遅れのものになってしまったのでしょうか?
これからの社会で、幸せを実現するための理想の形とは何なのでしょうか?
CRAZY WEDDING創業者 山川咲氏、「恋愛・恋活・婚活」事業に投資を行う、株式会社MYALL代表取締役会長 大木隆太郎氏、独身研究家 荒川和久氏、産業医 大室正志氏を交えて、討論します。
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<執筆:富田七、編集:佐々木健吾、デザイン:斉藤我空>