【スパイバー】 人工タンパク質開発、4年間の苦闘を語る

2019/10/10
日本発のベンチャー企業として期待されるスパイバー(本社:山形県鶴岡市)がついに、微生物による発酵プロセスによって作る「構造タンパク質」を使用したアウトドアジャケットを発売した。
「MOON PARKA(ムーン・パーカ)」と名付けられたそのジャケットの表層部分に、スパイバーとゴールドウインが共同開発した構造タンパク質「ブリュード・プロテイン」が使われている。かすかに光沢をたたえた卵色は、素材そのものの色だという。
ムーン・パーカの価格は15万円(税別)。同程度の機能を持つゴールドウィンの既存製品の2倍の価格ながら、申し込みが相次いでいるのは、構造タンパク質に対する期待の高さの表れだろう。
ゴールドウインの渡辺貴生副社長(左)とスパイバー の関山代表。中央がムーン・パーカ。様々な色に染色可能だという(写真:花谷美枝)
クモの糸は、鉄鋼の約340倍の強さを持ち、ナイロンのようにしなやかに伸縮するといわれる。多くの研究者が長らく研究を続けてきた「夢の繊維」だ。
ブリュード・プロテインは、このクモの糸を人工的に作り出す研究から生まれた。遺伝子レベルで操作することで、用途に合わせた性能を持つタンパク質を人工的に作ることができる。
微生物の発酵プロセスによって作るため環境負荷が小さく、石油由来の化学繊維に代わる素材として世界的に注目を集めている。自動車など他の産業への応用でも期待が高まる。
だが、製品化までの道のりは平坦ではなかった。
試作品の発表から製品化までにかかった歳月は4年。発売時期は当初の予定から3年遅れとなった。
この間、スパイバーの関山和秀代表執行役はメディア露出を控え、ひたすら素材開発に没頭した。
関山代表はどんな問題に直面し、どう克服したのか。
関山和秀(せきやま・かずひで)1983年1月2日、東京生まれ。2001年慶應義塾大学環境情報学部入学。先端バイオ研究室である冨田勝研究室に所属する。2004年9月、クモ糸人工合成の研究を開始。博士課程在学中の2007年9月、スパイバーを設立、代表に就任。
15万円のジャケットに申し込み殺到
──構造タンパク質「ブリュード・プロテイン」を使用したアウトドアジャケット「MOON PARKA(ムーン・パーカ)」(限定50着)の申し込みを8月29日に開始しました。反応はどうですか。