[8日 ロイター] - 香港取引所<0388.HK>は8日、ロンドン証券取引所(LSE)グループ<LSE.L>の買収を断念すると発表した。LSE経営陣の賛同が得られなかったためとした。

香港取引所は9月、LSEに390億ドルでの買収を提案していた。

香港取引所の李小加・最高経営責任者(CEO)は自身のブログで「買収を追求する戦略的な意義は十二分にあり、世界を主導する市場インフラのグループになれるとわれわれはなお信じている」と強調。規制当局や株主と協議を重ねたが、「LSEグループの関与のレベルから、買収の追求はわれわれの株主の最善の利益にはならないと結論付けた」と説明した。

LSEは香港取引所の提案を9月に拒否しており、アナリストは買収が実現する可能性は低いとみていた。

香港取引所は9月、買収の条件として、LSEが金融情報会社リフィニティブの買収を撤回することを挙げたが、LSEは買収を進める考えを示していた。

香港取引所は香港政府とのつながりも強く、アナリストは、中国政府が香港への影響力を強めているとの認識が買収の障害になるとも指摘していた。

香港取引所の発表について、LSEのコメントは現時点で得られていない。

香港の証券会社、交銀国際の調査部門責任者、Hao Hong氏は「香港取引所からすれば買収価格がやや高くなり過ぎだったので、断念したことは株主にとって良いことだ」と指摘。

「香港取引所は今後もさまざまなことを試みるだろう。李小加CEOはロンドン金属取引所(LME)をはじめとする多数の買収を行ってきた。証券取引所ではなくても他の関連分野が対象になるかもしれない」と述べた。

中国銀河証券のアナリスト、Chi Man Wong氏は「(LSEによる)リフィニティブ買収が予想に反して承認されなかった場合、香港取引所が再び(LSE買収を提案)するかもしれない」と分析。同氏によると、リフィニティブ買収に関するLSE株主の投票は暫定的に11月に設定されているが、確定はしていないという。

リフィニティブは、ロイター・ニュースを傘下に持つトムソン・ロイター<TRI.TO>が株式の45%を保有している。

※内容を追加しました。