【学生コミュニティ始動】学生へ送るキャリアの描きかた

2019/10/1
9月22日、「U22キャリアデザイン会議」が行われた。

『“就活”に、捉われるな』をテーマに、法政大学教授の田中研之輔氏が登壇。全国から集まった43人の学生たちに、これからの時代のキャリアの描き方を伝えた。

また、この日集まった学生を中心にNewsPicks発の学生コミュニティが誕生。『HOPE by NewsPicks』。若い世代が自らの夢や志を語り、作り手に回る場所として、今後その輪を広げていく。

「良いキャリア=良い会社に入る」ではなくなった

田中研之輔 みなさん、キャリアと聞いて何を感じますか。
 選ばれた人だけが持つものだと考える方もいると思いますが、キャリアという言葉は「生涯の仕事生活」のこと。誰もが持っているものです。つまり、キャリアデザインは全ての人に関係する話なんです。
 まずは、終身雇用の崩壊など過渡期を迎えているキャリアデザインの考え方の変化について話しましょう。
 これまでの“良いキャリア”というのは、良い会社に入ることでした。
 現在は、良い会社に入ることだけがゴールではなくなっています。
 今年5月に経団連会長が終身雇用の崩壊を宣言したことによって、入社後の安定が保証されなくなりました。入社先や転職先などを戦略的に選択していく必要が出てきたんです。
 トヨタに入ったら終わり、じゃない。トヨタに入って、そのあとどのようにキャリアを積んでいくか。一時的ではなく通時的に戦略的に考え続けていく「キャリア自律」が必要です。
 我々は歴史的な転換の時に生きているわけです。

組織にキャリアを預けない生き方

 終身雇用がなくなり、キャリア自律が必要になった今、覚えてほしいのが、プロティアン・キャリアという理論です。
 「プロティアン」はプロテウスという神の名前が由来で、水になったり火になったり、時には人にもなれる変幻自在の神。みんなのキャリアも同じなんです。
 キャリアは「組織の中で実現するもの」ではなく「個人が自己実現するためのもの」というのが、プロティアン・キャリアの考え方です。
 みんなが向き合う就活も、従来のような「目の前の会社を攻略する」ではいけません。
 「もう組織にキャリアを預けない」。この言葉をぜひ覚えて帰ってください。

キャリアの資本を貯めていく

 キャリア自律をより効率的に行うために、キャリアキャピタルという考え方もぜひ覚えて帰ってください。
 キャリアは、経験の積み重ねや時間をかけた関係構築で築き上げていくものです。やりたいことを実現するためには、キャリアの「キャピタル=資本」を貯めなければいけません。
 キャリアを構成する主な3つの資本があります。
 まずは経済資本。これはお金のことですね。続いて文化資本。専門知識や語学能力、その他の教養やリテラシーといったものです。学生のみんなは、学校で学び、文化資本を貯めています。そして社会関係資本。人脈、ネットワークといった言葉に代表される、これも個人が持つ資本です。
 これら3つのキャピタルをもとに「自己実現のために、どのキャピタルが必要で、そのために次にどのような行動をするのか」を意識すると、軸がブレません。
 5年後10年後を見据えて具体的なキャリアプランをつくる際は、キャリアキャピタルを軸とした戦略を立てるべきです。
 今日のテーマでもある「就活に捉われるな」とは言いますけど、キャリアキャピタルにはどんどん捉われていいと思います。

「作る側に回る」ことが重要

 ここまでを振り返って、とても重要なことが2つ。
 1つは「一人でやればいい」ではないということ。組織にキャリアを預けない時代では、私たちは孤立していきがちなんですけど、だからこそ社会との関係性はより一層重要になります。
 もう1つが「作る側に回ろう」ということ。
 (RADWIMPS)野田洋次郎や(映画監督の)新海誠と、私たちとの差は何だと思いますか。
 「作る」か「作らない」かです。今日のこのHOPEも誰かが作っています。たくさんの努力の結晶です。受け身でいてもしょうがないでしょう。そのまま変わらなければ、一生提供されて生きていくことになります。
 日本には300万人の学生がいます。このHOPEをもっと広げていく、そんな戦略をみんなで考えたい。これからは作る側に回りましょう。

共に“作り手”となるコミュニティ

田中氏の講演が終わると、学生たちは共通項を持ったチームに分かれ、チーム名、社会にインパクトを与える5年戦略について議論し、イベント終了後にはHOPE by NewsPicksのコミュニティページがオープンした。

U22キャリアデザイン会議の第2回イベントは10月14日。

モテクリエイターとして20代女性の支持を集めるゆうこす氏、クリエイティブディレクターとして活躍する辻愛沙子氏が登壇。「好き」という感情に焦点を当て、人それぞれの「幸せのカタチ」を模索する。

第2回イベント参加者募集中。10/7(月)締め切り

 第3回以降の開催も予定中だが、内容はまだまだ未定。立ち上がったばかりのコミュニティ「HOPE by NewsPicks」内でもアイデアを出し合い、時にはコミュニティメンバーが作り手となり、HOPEの輪を広げていく。
 NewsPicksのリソースを使い倒し、各々の夢や志に一歩近づく。選択肢は2つ。自分で「作る」か「作らない」かだ。
(文、撮影:日野空斗、編集:富澤友則、デザイン:小林将也)