香港でまたデモ隊と警察衝突 催涙ガスで強制排除
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香港市民の怒りは、逃亡犯条例の改正内容にだけ向けられているものではありません。逃亡犯条例はキッカケに過ぎず、中国が香港の自由や民主主義を奪おうとしているということに対する怒りなのだと言えます。
中国が約束の50年を待たずに香港を抑え込もうとするのは、香港に配慮する必要がなくなったからだといいます。中国指導部は、香港経済が中国にとって重要ではなくなったと認識しているのです。香港が中国に返還された1997年当時、香港のGDPは、中国全体の20%近くを占めていましたが、2017年には2%台にまで落ち込んでいます。
また、中国指導部は、香港の抗議活動を武力で抑え込んでも、国際社会から孤立することはないと認識しています。1989年の天安門事件の時とは状況が違うというのです。
今年7月、新疆ウィグル自治区におけるムスリム弾圧について、日本やイギリスなど22カ国が国連人権理事会において中国に改善を要求する共同声明を発しましたが、これに対して、ロシアやサウジアラビアなど37カ国が中国支持の公開書簡を国連人権理事会に送りました。
37カ国の内の多くが、中国の一帯一路に参加しています。中国が国内で人権を侵害しても、中国の経済的影響力に配慮する国々は中国を支持するということなのです。
もちろん中国指導部は、少しでも国際社会から批判される可能性があれば、武装警察を投入する事態は避けたいと考えるでしょうが、絶対ではありません。
日本人は、中国が経済的な損失を恐れるはずだと考えがちですが、中国指導部はそのようには考えません。自らの統治を部分的にでも損ねると感じれば、武力行使してでも敵を潰しにかかります。
こうした中国の認識は、台湾にも当てはまります。台湾の外交関係がゼロになれば、中国は「台湾は中国の一部である」と主張しやすくなります。そうなれば、中国が台湾に対して武力行使しても国際社会から孤立することはないと考えます。しかし、台湾が独立を宣言すれば、中国は直ちに武力を用いても台湾の独立を阻止しようとするでしょう。
中国が武力を用いることはないだろうと楽観してはいられないのです。