[ブエノスアイレス 1日 ロイター] - アルゼンチン政府は1日、外貨取引規制の再導入を承認した。官報の告示によると、企業はドルの購入を制限され、外為市場で外貨を購入して海外に送金するには、中央銀行の承認が必要となる。

通貨ペソを下支えするために外貨準備を取り崩してきた中銀は、今後は市場で外貨購入を制限することが可能になった。規制が強かったクリスティナ・フェルナンデス前政権から路線を変更したマクリ政権にとっては、これまでの改革策に逆行することになる。

政府は告示で「アルゼンチン経済が正常に機能するよう、政府は一連の臨時的措置を講じざるを得なくなった」と説明した。

国際通貨基金(IMF)の報道官は告示が出た数時間後に、IMFのスタッフは為替レートの安定と預金者を保護する目的のアルゼンチンの「資本フロー管理政策」を精査中で、今後もアルゼンチン当局と緊密に連絡を取ると表明。IMFは引き続き、この困難な時期に「アルゼンチンに力を貸す」とした。

アルゼンチン中銀によると、個人による自分の口座からのドル引き出しは制限の対象外だが、月当たり1万ドルを超える引き出しや送金は制限される。また輸出業者は外貨収入を期限内に現地市場でペソに交換するよう義務付けられる。企業がドルをため込むことは禁止だ。

新たな規制措置に詳しい関係筋は「貿易は制限されていない。過去に制限されたことはあったが、現在は全くない」と指摘。「全ての措置はこの状況で経済をでき得る限り守る目的がある」と述べた。

ラクンサ財務相は1日夜、地元テレビのインタビューで今回の措置には「違和感がある」と述べ「正常な国が取る措置ではない」との認識を示した。

しかし「やらなければ深刻な結果が待ち受けている」と述べ、事態の悪化を避けるためにはやむを得ないと説明した。

同財務相は別のテレビのインタビューでペソ相場について1ドル=61ペソは「行き過ぎ」との見解を示した。30日の終値は59.52ペソだった。

アルゼンチンは8月11日の大統領予備選で野党のフェルナンデス元首相が現職のマクリ大統領を抑えて首位に立った。改革派のマクリ大統領の再選が危ぶまれる状況となったことから、通貨ペソや株式、債券が急落した。

中銀は8月28日以来、ペソ防衛のために10億ドル近い外貨準備をつぎ込んだ。しかしペソは下落に歯止めがかからず、年初来の下落率は36%に達している。大統領選は10月27日に実施される。

アルゼンチンではフェルナンデス前大統領が外貨準備を守るために外貨取引を制限していた。

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