[東京 28日 ロイター] - ジャパンディスプレイ<6740.T>は28日朝、3月19日に公表した2014年3月期の連結業績予想について、売上高を6142億円(従来予想は6234億円)、営業利益を272億円(同304億円)に、それぞれ下方修正したと発表した。

一部顧客のスマートフォン1機種について、3月中に予定していた出荷を4月以降に遅らせるとの通知が3月19日以降にあった。さらに、中国メーカーなど中価格帯スマートフォンの価格交渉が難航して14年3月期の中での成約を見送った案件が複数あった。

ジャパンディスプレイは、下方修正の要因となった事案は3月19日以降に発生したと強調。スマホ1機種の「期ズレ」で約40億円、中国メーカーとの価格交渉難航で約40億円程度の影響があったとしている。

この結果、期末の連結売上高予想を92億円(従来予想より1.4%)、営業利益は32億円(同10.5%)下方修正した。

<IPOから1カ月余りの下方修正「印象悪い」>

28日の同社株は、先週末比13.64%の下落の690円で午前の取引を終えた。同社が14年3月期の業績予想を開示したのは、新規上場(IPO)した3月19日。それ以来、公開価格900円を一度を上回ることなく推移している。

ベイビュー・アセットマネジメントの佐久間康郎執行役員は「今回の下方修正は驚き。3月19日の時点でわからなかったのかという気がするので、印象は悪い」と指摘。先週末は799円まで株価は戻っていたが「今回、こうしたものを見せつけられると、株価はリバウンドしにくくなるのではないか」とみている。

<売り上げ変動は「日常的」との指摘も>

一方で、期末の液晶の取引において、売上高で90億円程度の変動は「日常的に起こり得る」(液晶業界関係者)事象との指摘もある。東証の開示ルールでは、売上高10%、営業利益で30%の変動で予想修正を発表することになっており、今回の売上高の下振れは対象外。ただ、JDIでは「上場直後という特殊な状況を考慮して、開示することにした」(広報)としている。

外資系証券のアナリストは「期末の液晶取引は振れが起こりやすいのは確かだが、見積もりが甘かったとも言える。またIPOの直後の下方修正は投資家から批判されても仕方がない」と指摘する。

同社の14年3月期の決算と、15年3月期の業績予想の発表は5月15日。米アップル<AAPL.O>のiPhone6の受注が寄与するほか、中国のスマホメーカーの取引も拡大する見込みだが、「業績予想は慎重に出さざるを得ないのではないか」(外資系証券アナリスト)との見方が出ている。

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(村井令二 編集:田中志保)