【新】老舗の「くず餅屋」に、就職希望者が殺到する理由

2019/8/16
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、東京・亀戸で200年以上の歴史を誇る老舗「船橋屋」の八代目当主である渡辺雅司氏だ。
江戸時代から愛される和菓子「くず餅」を真面目に作り続けている会社……というだけでは到底説明がつかないほど、船橋屋の勢いは目覚ましい。
10年で経常利益6倍という、業績面での躍進はもちろん、「若者が働きたがる会社」としても広くその名を知られる存在だ。大多数の中小企業が人手不足に悩むなか、就活シーズンには1万7000人もの学生から応募が殺到する
その核心にあるのは、元銀行マンの渡辺氏が紆余曲折を経てたどり着いた、「社員全員が元気になる」マネジメント術──名付けて「Beingマネジメント」。その理念をひもときながら、新時代に求められる組織のあり方に迫る。
渡辺雅司(わたなべ・まさし)

株式会社船橋屋 代表取締役八代目当主。1964年、東京都生まれ。立教大学卒業後、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。1993年に家業を継ぐために「元祖くず餅 船橋屋」に入社。2008年には父の後を継いで八代目当主となる。以降、老舗の伝統を守りつつ、数々の組織改革によってファン層の拡大に成功し、増収増益を続ける。近年は、くず餅乳酸菌による新商品開発などイノベーションを次々と起こしているほか、全国各地に赴き、組織改革や人材育成について講演活動を行っている。著書に『Being Management』(PHP研究所)