【鈴木おさむ】日本メディアを制するのは「TVer」

2019/7/27
7月23日に放送された『The UPDATE』は、「Netflixはメディアを制するか」。鈴木おさむ氏、明石ガクト氏、工藤里紗氏、鳩山玲人氏の計4名をゲストに迎え、Netflixが今後日本に与える影響や、日本のメディアの未来について議論した。
番組の最後に、古坂大魔王が最も優れていた発言として選ぶ「King of Comment」は、鈴木氏の「Netflix入っているとカッコいい!」に決定。
Netflixの強みを認めながらも、日本での課金モデルの敷居の高さや、海外コンテンツの相入れない部分を指摘した鈴木おさむ氏。
番組後半で「日本を制するのはNetflixではなく、TVerです」と言い切った。
鈴木氏が考えるNetflixの現状とTVerの未来について、番組終了後、お話を伺った。

海外コンテンツとの溝

「Netflixが日本を制するのは難しい」と言いながらも、鈴木氏も会員ではある。
自身が感じるNetflixの強みとは。
鈴木 やっぱり、今までだったらDVDをレンタルしないといけなかったような海外コンテンツが簡単に観ることができる、という点でしょう。
既存のドラマや映画はもちろん、質の高いオリジナルコンテンツも充実している。
話題になった『Bird Box』も大変面白くて、映画とドラマのいいとこ取りをしたような作品に感じたし、こういうコンテンツがもっと出てきたらいいなと思いました。
ただ、その一方でアメリカのコンテンツということで、僕にとっては当たり外れが大きいのも事実です。
『ハウス・オブ・カード』とか、時折大当たりの作品に出会うことはあるけど、すごくアジャストするものばかりか、というと難しい。
これは僕個人の問題というよりは、日本の国民性などが関係していると思うんですよね。
これだけ英語を喋ることができない、自国の言葉でばかり話す日本という国は、やはりガラパゴス的。
かなり独特なカルチャーを築いているし、海外のコンテンツとの溝が深くなってしまう。

Netflixはテラスハウスを生き返らせた

番組内では、Netflixコンテンツの強さを認めながらも、同時に「粗」の話題に上がっていた。
鈴木氏は、最近話題になった『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』も、同じ内容なら地上波では「5分になる」とその冗長さを指摘していた。
ただし、Netflixでは日本で制作されたコンテンツも多数配信されている(「DEVILMAN crybaby」などは、大きな話題を呼んだ)。
また、もともとは地上波で放送されていた「テラスハウス」や「あいのり」がNetflixで配信されることで、海外でも人気を集めているという現状もある。
鈴木 テラスハウスって、当時地上波で23時台に放送されていたとき、世帯視聴率は高くはなかったんです。でも、その中にはF1層がたくさんいたんですね。
それがNetflixで配信されることで、息を吹き返したという現状もあります。
本来はテレビ局自身がやるべきことでしたが、観られるコンテンツがアーカイブされて、誰でもいつでも観れるようになった。
価値あるものが残っていく、という点もNetflixの魅力のひとつですよね。

コンテンツの作り方も変化

テレビ局が視聴率という基準で判断していたせいで取りこぼしていたコンテンツが、いまNetflixの存在により生き返っている。
しかし、時代が変わるにつれてテレビ局も視聴率至上主義ではなくなりつつある、という話は番組中でも出ていた。
鈴木 その潮目がいつから、と断定的に言うことはできませんが、ここ2、3年の話だと思います。
NetflixやAmazonプライム・ビデオというサービスが台頭し始め、ユーチューバーの影響力が無視できないくらい強大になっていった。
そういう時代の変化から、考え方が次第に変わっていったと思います。
もともと作り手としては能力が高い人たちがたくさんいる業界ですから、これからコンテンツの作り方も内容も、色々と変わってくるんじゃないか、と思っているんですよね。

TVerの未来に希望

鈴木おさむ氏は、今後の日本メディアを制するのは、テレビ局(在京民放キー局5局)が共同で、2015年にスタートした無料配信サービス「TVer」だと言う。
局をまたがり、様々なテレビ番組の見逃し配信を行なっており、その使い勝手の良さから広く利用され、サービスとしても好調である。
一体なぜ、ここまで短期間で成長することができたのか。
鈴木 やっぱり、日本人はドラマを観るんですよね。TVerもドラマの見逃し配信がすごくよく観られるんですよ。ただ、録画は面倒臭いでしょ。
YouTubeと同じように、インターネット上から簡単にアクセスできて、いつでもどこでも観られるという利便性は、視聴者からしても、かゆいところに手が届くのだと思います。
日本メディアを制するといっても、それはどれだけ儲かるかという話とセットになりますから。
これから、どれだけ広告や課金などが盛り上がるかが、どうなるかというところですね。
ただ、もしTVerで同時再送信が始まっても、Netflixのような有料会員制になることはないと思います。
一週間以上遡る場合は有料、といった課金サービスなどは取り入れると思いますが。
何より、TVerは日本国民が好むようなコンテンツが充実している。
おまけに会員登録のような敷居の高さもない。
すでに広告なども多く入っていますし、十分に未来に希望があるサービスだと思いますよ。
というか、これから先、似たような無料配信サービスがもっと生まれてくるような気がしているんですよね。

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<執筆:富田七、編集:木嵜綾奈、デザイン:斉藤我空>