[ワシントン 24日 ロイター] - 米フェイスブックは、個人情報保護の不備を巡り連邦取引委員会(FTC)に50億ドルの制裁金を支払うことやユーザーデータの保護を強化することで合意した。同社とFTCが24日、明らかにした。制裁金は過去最大規模となる。

フェイスブックはまた、株式市場の取引終了後、FTCが同社に対し、反トラスト法(独占禁止法)違反を巡る調査を開始したと先月伝えていたことを明らかにした。

FTCは今回の和解案を賛成3票、反対2票で可決。和解には裁判所の承認が必要となる。賛成票を投じた共和党委員3人は和解について、いかなる裁判所の裁定も上回る内容だと評価した。一方、反対票を投じた民主党委員2人は制裁金が十分でないとの見解を示した。

FTCのシモンズ委員長(共和党)はFTCの限られた権限と長期にわたる法廷闘争を回避する意図を強調した。

FTCの民主党委員らは、フェイスブックがユーザーのプライバシー侵害で得る利益と比べ、50億ドルの制裁金額が少ない可能性を指摘。ロヒット・チョプラ委員は「個人情報や国家安全保障を危険にさらすフェイスブックの中核的な財務インセンティブ問題に対処するまで、こうした問題の再発は防げなくなる」と述べた。

フェイスブックは50億ドルの制裁金を支払うことを確認し、今回の和解は「個人のプライバシー保護に向けた新たな包括的枠組み」をもたらすとした。同社株は約1%高で引けた。

また米証券取引委員会(SEC)は同日、フェイスブックが個人情報の取り扱いを巡るリスクを投資家に開示しなかったとして、追加で1億ドルを科すと発表した。

FTCはフェイスブックのデータポリシーが顔認証を使用した「数千万人」のユーザーに対して不当だったとしたほか、セキュリティー機能のために登録された電話番号が広告にも使用されることが明らかにされておらず、規則に違反するとした。

FTCは、ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)ら経営陣が同社のプライバシー慣行を確約する証明書に四半期ごとに署名する必要があるとし、証明を怠れば民事または刑事上の制裁金が科される可能性があるとした。

またユーザーが他のサービスに登録する際の電子メールパスワードによる確認や二要素認証などセキュリティー機能で取得した電話番号の広告への使用も禁止する。顔認証から得られたデータを使用する際にはユーザーの承認が必要となる。

今回の和解により、フェイスブックはプライバシーに関する独立した委員会を設置するほか、サードパーティーのアプリに対する監視を強化、マイクロソフト<MSFT.O>やソニー<6758.T>の友人データアクセスを認めない考えも示した。

ザッカーバーグ氏は「今回の和解の一環として、当社のプライバシー管理を財務管理のあり方に近づけていく」とフェイスブックに投稿。今後、データを使う新たな機能を導入する際などに、リスクやその緩和策を示す必要が出てくるという認識を示した。

FTCはこの日、フェイスブックの個人情報流出問題で情報を不正入手したとされる英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカのアレクサンダー・ニックス前最高経営責任者(CEO)と元アプリ開発者のアレクサンドル・コーガン氏とも和解することで合意したと発表した。

民主党のリチャード・ブルメンタール上院議員は今回の和解を批判。「経営幹部に何の責任も負わせない」ものだと指摘した。

共和党のジョシュ・ホーリー上院議員も、「効果的な方法でフェイスブックを罰することに完全に失敗した」と批判した。

*内容を追加しました。