米当局、GAFA調査開始 独禁法違反、世界で規制も
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そもそも米国の反トラスト法(実際はそういう名称の法律はなく、3つの異なる法律の総称)制定のきっかけは19-20世紀の米国で自由競争の結果で成長した大企業を放任することが、むしろ逆に自由競争を阻害するという観点にある。
だから、GoogleだろうがAmazonだろうが、Facebookだろうが普通に対象になりうる。かつてMicrosoftも提訴され、長きに渡り裁判が行われていた記憶がある。
プラットフォーマーに憎悪をたぎらせる人も日本には多いだろうが、現実的には、その存在により圧倒的な利便性の向上と技術進化があったのも事実。しかし、一方で、プラットフォーマーが実際に競合の競争力を削ぎ、消費者の利害に悪影響があったのか、改めて本質的な調査で明らかにするのであれば意義はあるかと思う。
ただ、19-20世紀の経済環境下で作られた法律も果たして、人類の発展と消費者保護のために、本当に意味があるものなのか、と感覚的ではあるが、そのように思う部分もある。ましてやこれを世論のガス抜きのために振りかざすなんていうのはもってのほかだ。DOJもBigTechへの監視を強めるべく調査権限を行使する。
これはBigTechに対して、自ら運営している市場に対する透明性が足りない=その影響力の大きさに応じた社会に対するアカウンタビリティが果たされていない、という評価であって、これはどこの国のサービスであるかということを問わずに論点として正当化されうるということなのだろうと思う。
巨大な(マッチング)市場運営者に対する監視と牽制の仕組みをどう構築するか、というテーマに対して、世界は独禁法という法体系をそのツールとして選択し、このツールのアップデートという方向で対応しようとしている。
アップデートにあたり制度的な補完としておそらく同時に重要なのはEthicsの問題なのだろう。社会の変動スピードには限界があり、テクノロジーがもたらす負の外部性は時間をかけて見積もらないといけないので、社会的に許容される時間軸にしたがって変革していくことが企業の社会的な責任だ、という言説が米国社会(なかんずくシリコンバレー)で受け入れられるかどうか、という点に注目している。
Blitz Scaleを打ち出し、重力につかまらずに大気圏を脱するための推進力をどうやって得るのか、ということを主要テーマに据えているシリコンバレースタートアップの哲学が、グローバル社会のなかでありうる価値観として引き続き受け入れられるものなのかどうか。少なくとも、シリコンバレーだけがそれを許容されるという事態は起こらない。こうした活動が世界的に反社会的とみなされれば、どんなに腕利きのキャピタリストでも投資家からのダイベストメントの動きにあらがうことができない。
スタートアップ投資はマージナルな世界での弱者の戦いという位置づけでこれまでずっとやってきたが、これが社会のメインストリームにとって無視できないものにまで社会的な重要性が格上げされると、これまでとは異なる規範に向き合わなければならなくなる。シリコンバレーの最先端VCの近時の動向をみると、すでにそのような世界を見据えながら手を打ち始めてきているという風にも解釈できるように思う。マイクロソフトが漁夫の利を得るとは、なんとも皮肉。ついこの間までは、WindowsやOfficeの圧倒的なシェアを元に不当な取引を強いていると言われていたのに。
これもマイクロソフトが戦略的に仕組んでいたりしたら大したものだ。実際には、Officeの影響力は変わらず、それをコアにして、他事業を伸ばしているのだが、他プラットフォーマーに比べると影が薄い。これが計画通りだとしたら、したたかな役者だ。