【最先端】脳科学が解明する、深い睡眠の「先」

2019/7/22
思いのままに夢を見ることができたら──。
そんな「夢物語」に本気で取り組む企業がある。
米アップルも参入するなど、近年、盛り上がりを見せているスリープテック。いまや、世界最大の家電見本市、CESにもスリープテックのコーナーが設置されている。
スリープテック企業の中には、睡眠不足解消や不眠対策の商品だけではなく、奇妙な睡眠ガジェット開発に取り組む例もある。そんな「より良い眠り」のその先を目指す企業が参考にするのが、最新の脳科学だ。
脳科学の論文を調査するとともに、世界のスリープテックの動向を追うneumo(ニューモ、東京都渋谷区)の若林龍成代表と、サイエンティストの星野翔氏が、スリープテック企業の先端の取り組みを解説する。
若林龍成(わかばやし・りょうせい)/ neumo代表取締役兼CEO。東京大学大学院工学系研究科修了。ウェブコンサルティング会社beBitの創業を経て、2017年にneumoを設立。脳神経科学を応用した音楽のデバイスの開発にも取り組む。(撮影:飛塚倫久)

記憶力を高める睡眠デバイス

若林 スリープテックというと、主たるテーマは寝不足の解消というイメージが強いですが、世界にはもっとマニアックでユニークな研究がたくさんあり、それを基に開発されたデバイスが商品化されています。
その一つが、睡眠中にデバイスを使ってある「音」を聞かせることで、記憶力を高める研究です。