プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
注目のコメント
うちの上海オフィスにいる清華大学出身で博士課程修了しているコンサルは、私が取ってきたプロジェクトに対して、「社会的に意義がある、人のためになる」と納得できないとプロジェクトを開始してくれません。笑
爆買い系旅行者や、ニュースや固定観念から持っているイメージのように、「したたかで自分のことしか考えてない」タイプの方々が大多数として存在しているのは確かです。
しかしヒエラルキーの上にいる数パーセントは、とにかく社会貢献や意義を強く求め、ノブレスオブリージュを絵に描いたような高潔な人々ばかりだったりします。私がトップレベルの方と会うと、みんな「この酷い状況にある母国中国を、何とかより良くしたい」と本気で考えていて、いつもため息が出るほどの高潔さに舌を巻いてしまいます。
NIOの創設者ウィリアム・リー・ビンも、アメリカから戻ってきて中国の真っ白な空を見て憤り、「電気自動車で北京の空を青くしてやる」と誓い、"Blue Sky Coming = 蔚来”と名付けた話も有名。
多産多死をやってる人たちが、めちゃくちゃ優秀で、かつ志や社会貢献意識まで高い、ということは、理解しておきたい環境です。
ちなみに一方で、95年以降や、00年以降に生まれた人たちは、「この大きな国を自分にはどうにもできない」と現実的に考えがちで、自分の生活の豊かさを重視するようになってるというデータもあったりします。取材、執筆を担当しました。
中国のベンチャー育成システムは「多産多死」と言われています。確かに起業家、コワーキングスペース、ベンチャーキャピタル、ついでに政府の補助金の種類まで、その圧倒的な物量には驚かされます。
日中を比べると、ついつい力VS技という見立てをしてしまいそうになるのですが、なにもテクニックがあるのは小兵力士だけではありません。巨漢力士もまた自らの重量を発揮するための技術があるように、中国もその物量を生かすための工夫を持っています。
特に中国トップの大学である清華大学では、起業家を増やす「多産」、ベンチャーの死亡率を下げる「多死」対策の双方で、取り組みが充実しています。起業家教育からIPOまで、一貫して面倒を見る清華メソッドを追いました。清華大学のキャンパスの南側に、キラキラした高層ビルが4棟そびえ立っています。この巨大なオフィスビル群のような場所が、実は合計1500社という数のベンチャーが入居している、「清華大学サイエンスパーク」のインキュベーション施設なわけです。
ひとつの大学が、800もの事業会社をぶらさげて、3.8兆円もの資産を保有している企業体を運営しているということが、まず大きな驚きでした。もともとは中国の大学が、その運用資金をみずから得るために設立することが多かった大学企業。しかし清華大学のそれは、2000年以降にファンドやインキュベーターといった機能を拡張して、いまやベンチャーの揺りかごになっていました。
このサイエンスパークに入居しているベンチャーを、ぐるぐる取材するだけで、数日間がかかる気がするほど広大なエリアです。