JRA大激震 禁止薬物検出で152頭出走取消、公正確保へ苦渋の決断
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馬のサプリメントを作るメーカーさんいわく、競走馬理化学研究所における検査は非常に厳しく、禁止物質が出ようものなら、作ったメーカーの製品全て、二度と馬には提供できなくなるとのことです。
またヒトが使用するサプリメントに対しては、アンチ・ドーピングの第三者認証である「ドーピング・ガード」などの取得が求められるようになってきており、馬同様、チームで採用する際には認証の取得が必須になってきています。
ちなみに欧州のデータによると、テオブロミンには以下の作用があるようです。
・げっ歯類及び犬の精巣に対する生殖毒性
・乳牛及び子牛にテオブロミンを使用で、産乳量の減少/脂肪分の増加、並びに過剰な興奮、発汗、及び、呼吸や心拍数の増加等の有害影響
・馬はテオブロミンに対する感受性が特に高く、肝臓及び甲状腺に影響を受け、豚は発育遅延、下痢及び嗜眠状態を示した。
・採卵鶏のテオブロミン暴露は、肝毒性及び腎毒性を引き起こし、体重増化の鈍化及び産卵低下を引き起こす
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/print/syu02670240149
どうやらカカオ樹脂から採れる成分のようで、また馬での感受性が高いことから競馬では禁止成分ですが、ヒトの禁止リストにはない成分です。興味が湧いて、問題になったテオブロミンという物質について勉強してみました。テオブロミンは、キサンチンアルカロイドと呼ばれる物質の仲間で、皆様に馴染みのあるものだとカフェイン、我々医師の世界だとテオフィリンという喘息の薬の兄弟のような物質です。
カフェインの代謝産物であり、チョコレートやコーラにも含まれる成分のようなので、人も頻繁に摂取しているのでしょうね。
カフェインの仲間なので作用点も似ており、その効能はコーヒーをたくさん飲んだ時を想像していただくと分かりやすいと思います。心拍数が上がったり、トイレが近くなったり、血管が開いたりという作用があります。すなわち、適切に使うと運動能力がアップすることが予想されます。その反面、人間でもレッドブルを飲みすぎてカフェイン中毒が問題になることがありますが、体内の濃度が上がりすぎると痙攣を起こしたり死に至ることもあります。
人間と違い、馬や犬はこの物質を代謝する酵素をしっかり持ち合わせていないようで、代謝が悪いために人間と同じ勢いで摂取してしまうとたちまち中毒になるそうです。例えば小型犬だと明治ミルクチョコレート1つ丸々食べるだけで中毒域に入る可能性があるそうです。チョコレート好きの私が小型犬だったら、一瞬でした。
また、アメリカの事例ではチョコレートとドーナッツを罠に使ってクマを捕まえたら、そのクマはチョコレートによるキサンチンアルカロイド中毒で死亡してしまったそうです。
私は調べ物に医学書や医療者用ウェブサイトを用いますが、ウィキペディアを見てみたらウィキペディアにも専用のページがありました。ウィキペディアはすごいですね。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/テオブロミン人間スプリンターも競走馬も、オーガニック食品じゃ力でないだろうし、体も回復できない。そんなやりくりしながら、「カフェインが禁止薬物」とか言われる世界で生活してる人(馬)も尊敬する激カフェイン接種派。
カフェインとカカオ捕られたら生きていけないから競走馬になれないや。