[北京/上海 12日 ロイター] - 5月の中国の自動車販売は過去最大の落ち込みを記録し、景気減速や米国との貿易戦争による影響がますます懸念される状況となった。中国汽車工業協会(CAAM)が12日発表した5月の自動車販売台数は、前年同月比16.4%減少の191万台。

11カ月連続の前年割れとなった。4月は14.6%減、3月は5.2%減だった。

CAAMの許海東秘書長助理は販売減少の理由の一つとして、中央政府が2020年までの順守を求めている新排ガス基準「国6」を一部の省が早めに導入し、業界に不透明感が広がったことを挙げた。

許秘書長助理は「メーカーに与えた準備期間があまりにも短かった」と述べ、自動車業界のサプライチェーンが市場の変化についていきづらくなっていると指摘した。

景気減速や米国との貿易戦争の影響で2018年の販売台数は1990年代以降で初めて減少を記録した。

業界幹部は、政府の支援措置で、年後半には市場が成長を取り戻すとの見方を示している。

許氏は12日、中低所得層の購買力低下や政府の自動車購入奨励策への期待も5月の需要低下につながったと指摘した。

政府は6月初め、低迷する自動車販売のてこ入れ策を発表。地方政府が自動車購入について新たな規制を設けることを禁じ、NEVに関する規制を廃止するとした。ただ、市場の予想に反し、主要都市におけるガソリン車規制の緩和は盛り込まれなかった。

許氏は、対策には補助金が含まれていないとしたうえで、そのような支援を期待し続けることは非現実的と指摘した。

また、師建華副秘書長は「完全に競争的な産業であり、政府が絶えず介入する必要はない」と述べた。

<新エネルギー車も失速>

これまで好調を維持してきた新エネルギー車(NEV)の販売も失速。5月は1.8%増の10万4000台と4月の18.1%増から急減速した。NEVの昨年の販売は約62%増加した。

深刻な大気汚染への対応の一環で中国政府は、ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車といったNEVを推奨しており、自動車メーカーに販売の一定割合をNEVにするよう義務付けている。

許氏は、NEVの販売減速の理由として、バスなどの商用車の販売が減少したことや、排ガス基準強化を受けてガソリン車が大幅値下げされ、買い手がそちらへ流れたことを挙げた。

5月の販売は、トヨタ自動車<7203.T>とホンダ<7267.T>が2ケタの伸びを記録したものの、それ以外は軒並み減少した。

*内容を追加しました。