(ブルームバーグ): 日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は10日、25日に予定される株主総会で、大株主の仏ルノーが日産の指名委員会等設置会社への移行のための定款変更に関する議案決議を棄権する意向との書簡を送ってきたことを認めた。

西川社長は「大変な驚き」とした上で、コーポレートガバナンス(企業統治)強化の動きに完全に逆行するものであり、誠に遺憾だとの声明を同社のウェブサイトで発表した。今後は「理解が得られるよう最善の努力をしていく」方針だ。

声明では、指名委員会等設置会社への移行はガバナンス改善特別委員会からの提言に基づくものだと説明。ルノー出身者も含め、取締役会で全会一致で決議したものだと指摘した。

日産はカルロス・ゴーン前会長が逮捕されて以降、権限の集中を改めるためのガバナンス改革を進めてきた。今回の提案はその柱の1つで、指名委員会等設置会社への移行後は社外取締役中心に各委員会を統率させ、透明性を高める計画だった。ただ、株主総会での議案の承認で筆頭株主のルノーが棄権した場合、決議はより難しくなる。

一方、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議出席のため来日しているルメール仏経済・財務相は10日夜、都内で世耕弘成経産相と会談し、アライアンスの最新状況について意見交換。会談後、記者団に対して「今までの誤解が解けたと思っている」とコメントした。

世耕氏は面談を通じてルノーと日産について強力なサポートを確認したとし、良いコミュニケーションができ、アライアンス強化に関して不一致点は見いだせなかったと述べた。誤解がどういうものだったかとの問いにはコメントを控えた。

ルメール氏は8日、福岡市でアライアンス強化につながるならルノーへのフランス政府の出資比率を15%から引き下げることもいとわないと発言。日経アジアンレビューは10日夜、より効率的で迅速な意志決定ができるガバナンス体制の構築につながるのであれば、ルノーの日産株の保有率低下に対してオープンだと同氏がインタビューで述べたと報じた。

(仏経済相のコメントなどを追加して更新します.)

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