[ワシントン 5日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は5日、米中の報復関税合戦が2020年に世界の経済生産を0.5%下押しする可能性があるとの見方を示した。

ラガルドIMF専務理事は、今週末に日本で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議向け資料の中で、米中がすべての輸入品に関税を課した場合、4550億ドル相当の国内総生産(GDP)が失われると指摘。「自傷行為は避けねばならず、それには最近導入した貿易障壁を撤廃し、今後もあらゆる障壁を導入しないことだ」と述べた。

IMFは、米中がこれまでに相互に発動させた関税措置により、20年の世界的な経済生産は0.3%下振れすると試算。このうち半分以上が企業信頼感、および金融市場心理の悪化によるものとした。

ラガルド専務理事は「保護主義的な措置で経済成長と雇用が損なわれているが、これに加え、取引可能な消費財が手に入りにくくなり、低所得層が不釣合いな打撃を受けている」と指摘した。

また、世界貿易機関(WTO)の規則の強化に向けた取り組みの必要性も指摘。特に政府助成、知的財産権の保護、サービス貿易などに関する規則の強化が必要との考えを示した。

*内容を追加しました。